韓国のモビリティプラットフォーム大手3社が2025年、そろって収益性を改善した。Socarはいち早く営業黒字に転じ、TMAP Mobilityは創業以来初の通期最終黒字を達成。Kakao Mobilityも利益率の改善を進めた。赤字を容認しながら規模拡大を追う局面から、採算重視へと競争軸が移りつつある。
各社に共通するのは、非中核事業の整理とデータ基盤の収益化強化だ。2025年実績を通じて浮かぶキーワードは「選択と集中」で、TMAP Mobilityはキックボードと代行運転、Socarは子会社構造、Kakao Mobilityは事業ポートフォリオをそれぞれ見直した。
◆Socar、2025年に6四半期連続の営業黒字 車両当たり収益力を改善
Socarの2025年連結決算は、売上高が4707億ウォン、営業利益が232億ウォンだった。売上高は前年同期比9.0%増。営業利益は前年の98億ウォンの赤字から黒字に転じた。
第4四半期の営業利益は132億ウォンと、前年同期の30億ウォンから345%増加。営業黒字は6四半期連続となった。
収益改善の柱は、「Socar 2.0」戦略による車両ライフタイムバリュー(LTV)の最大化だ。データに基づく需要予測を活用し、カーシェアと月単位レンタカー「Socar Plan」の間で車両配置を最適化した結果、車両1台当たりのライフタイム売上総利益は1420万ウォンとなり、戦略導入前に比べて40%上昇した。
年間稼働率も37.8%と、前年から3.1ポイント改善した。一方で最終損益は184億ウォンの赤字だった。電動自転車「Elecle」を運営する子会社Nine2Oneの出資転換など、一時費用248億ウォンを反映したためだ。
この一時費用を除いた調整後の当期純利益は64億ウォンだった。パク・ジェウク代表は「2025年は本業中心の体質改善を通じ、構造的な黒字創出能力を証明した年だ」としたうえで、「2026年はAI基盤の運営革新と将来モビリティ技術への投資を通じて企業価値を高める」と述べた。
◆TMAP Mobility、非中核整理が奏功 データ事業伸長で初の通期黒字
TMAP Mobilityは2025年、EBITDA(償却前営業利益)が44億ウォン、当期純利益が233億ウォンとなり、いずれも創業以来初の黒字を確保した。EBITDAは前年比299億ウォン増、当期純利益は同1007億ウォン増だった。
営業損失は141億ウォンと前年から約70%縮小し、営業利益率は11.4ポイント改善した。収益改善を支えたのは、非中核事業の整理だ。
同社はSsingSsingやGcooterなどと連携していた電動キックボードサービスを終了したほか、法人向け代行運転子会社Good Serviceを最大140億ウォンで売却した。Carrot損害保険の保有株も600万株を360億ウォンで全量売却した。
こうして不採算事業を整理する一方、データ事業が成長を下支えした。モビリティデータ・ソリューション部門の売上高は前年比35.8%増。完成車に搭載される「TMAP Auto」の売上高は30%超伸び、運転習慣連動型の自動車保険(UBI)売上高も29.4%増えた。
B2B向けデータ供給は物流・配送に加え、石油精製、IT、家電へと顧客層が広がった。API利用量も19.3%増加した。プラットフォーム指標も改善しており、AIによる場所推薦やコンテンツ型探索機能の拡充を受け、月間アクティブユーザー数(MAU)は1539万人と過去最高を更新した。
AIサービスのトラフィックは、第3四半期の244万人から第4四半期には515万人へと2倍超に増えた。イ・ジェファン代表は「データとAIを軸に事業体質を転換した戦略が、実質的な成果につながった」とし、「安定的な利益創出構造をさらに強化する」と述べた。
◆Kakao Mobility、利益率改善 フィジカルAIシフトを加速
Kakao Mobilityの業績は、親会社Kakaoの開示資料から一定程度推し量れる。非上場子会社のため単独業績は公表していないが、Kakaoの連結実績ベースでは、2025年の売上高は約7700億ウォン、営業利益は1200億~1300億ウォン規模とみられる。
この前提では、売上高は前年比15.2%増、営業利益は30%超の増加となる。第3四半期までの累計営業利益率16.5%を踏まえると、第4四半期の利益率は約20%まで上昇した可能性がある。
Kakaoによると、Kakao Mobility事業はタクシー、駐車、クイック便を中心に堅調に伸びた。第3四半期までの累計では、プラットフォームインフラ部門(直営タクシー、駐車運営ソリューションなど)の売上高が1951億ウォンで、全体の36.5%を占めた。
物流・配送、洗車、代行運転などを含むライフスタイルサービスの売上高は1668億ウォンとなり、モビリティサービスの1590億ウォンを上回った。売上高の伸びに比べて営業費用の増加が抑えられたことも、利益率改善につながったとしている。
事業戦略も転換期を迎えている。Kakao Mobilityは2026年、従来の「未来移動開発室」と「未来事業室」を統合した「フィジカルAI部門」を新設し、Waymo出身のキム・ジンギュ高麗大学教授を部門長に迎えた。
タクシープラットフォームで蓄積した移動データと、6都市での実証を通じて確保した3万kmの走行データを基に、韓国型エンドツーエンド(E2E)自動運転モデルの開発に着手する。配車偏重や会計違反を巡る2件の疑惑がいずれも嫌疑なしとなり、司法リスクもひとまず一服した。
◆共通項は「選択と集中」 2026年は黒字定着が焦点に
2026年は、3社の競争軸がより鮮明になる見通しだ。赤字を許容して事業規模の拡大を優先してきた段階を経て、今後は各社が強み分野で収益力を高める局面に入るとの見方が出ている。
Kakao MobilityはフィジカルAIと自動運転の商用化、TMAP Mobilityはデータ事業の拡大と上場準備、Socarはカーシェア本業の強化と最終黒字の達成を、それぞれ重点課題に据えている。