ドナルド・トランプ米大統領の関税政策と暗号資産を巡る発言が、市場の変動を大きくしている。米連邦最高裁判所が一部の関税引き上げを違憲と判断した後、トランプ氏が追加関税を打ち出したことで、暗号資産市場には再び警戒感が広がった。
Cointelegraphなど海外メディアが2月27日(現地時間)に報じたところによると、トランプ氏の関税政策は2025年4月の導入後、暗号資産市場の重荷となってきた。関税が世界景気の先行き不透明感を強め、投資家のリスク回避姿勢を促した結果、ビットコインをはじめ主要な暗号資産はそろって軟調に推移した。
もっとも、トランプ氏の動きが常に相場下落につながったわけではない。暗号資産に前向きな発言や業界寄りの政策姿勢が示された場面では、市場が即座に反応し、短期的に反発するケースもあった。
例えば就任前には、同氏の家族が運営する暗号資産プロジェクト「World Liberty Financial(WLFI)」がビットコイン、イーサリアム、トロン、Chainlinkなど複数のトークンを購入。その後、ビットコイン価格は24時間で4.5%上昇した。
就任直後には、米国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の可能性を排除し、「デジタル資産市場タスクフォース」に相当する作業部会を立ち上げる大統領令が公表された。これを受け、ビットコインは1日で1.34%上昇した。
ただ、暗号資産に前向きな姿勢がそのまま上昇要因になったわけではない。WLFIトークンの販売終了時には、ビットコインが1日で1.59%下落するなど、相場の反応は一様ではなかった。トランプ氏がBlockworks Digital Asset Summitで暗号資産業界への支持を表明した場面でも、ビットコインは24時間で0.1%安と値動きは限られた。
一方、関税を巡る材料は、相場により直接的な売り材料として作用する場面が目立った。トランプ氏が全面的な関税引き上げを表明した際には、ビットコインは短期的に5.7%急落。その後は押し目買いが入り、マクロリスクの見直しもあって1週間で2.14%上昇する場面もあったが、今回も米連邦最高裁判所の判断後に追加関税が示されたことで、下押し圧力が再び強まった。
足元では、トランプ氏の発言単独よりも、関税のようにマクロ経済に波及する政策の方が、暗号資産の価格形成に与える影響が大きくなっている。暗号資産が伝統的な金融市場との連動性を強めるなか、相場を左右する材料は「親暗号資産」発言といった短期テーマから、貿易、物価、景気といったマクロ不確実性へと比重を移しつつあるとの見方が出ている。