ステーブルコイン市場の規模が3000億ドルを超えた。DuneはSteakhouseFiと共同で、主要15種類のステーブルコインについて保有主体や送金動向、用途を分析し、その実態を公表した。
分析対象は、EVM系チェーン、Solana、Tronにまたがる主要15銘柄。ウォレット単位で追跡したデータから、供給の集中状況に加え、どのチェーンで多く使われ、何に利用されているのかを明らかにした。
2026年1月時点で、15銘柄の供給量は3040億ドルとなり、前年から49%増加した。
内訳は、TetherのUSDTが1970億ドル、CircleのUSDCが730億ドル。両銘柄だけで市場全体の89%を占めた。
チェーン別では、Ethereumが1760億ドル(58%)で最大。以下、Tronが840億ドル(28%)、Solanaが150億ドル(5%)、BNB Chainが130億ドル(4%)と続いた。市場規模がほぼ倍増する中でも、チェーン別の構成比は大きく変わっていない。
一方、USDTとUSDC以外の銘柄は2025年を通じて存在感を高めた。Duneによると、Skyエコシステム(MakerDAO)のUSDSは376%増の63億ドル、PayPalのPYUSDは753%増の28億ドルに拡大した。RippleのRLUSDは5800万ドルから11億ドルへ増え、伸び率は1803%に達した。
また、ドナルド・トランプ大統領の一族と関連するとされるWorld Liberty FinancialのUSD1は、従来のリストには含まれていなかったものの、51億ドル規模に拡大した。USDTとUSDCの二強構図に大きな変化はないが、中位銘柄の厚みは増している。
保有構造では、ステーブルコインの集中度の高さも浮き彫りになった。EVM系チェーンとSolanaを合算したベースで最大の保有主体は中央集権型取引所で、保有額は800億ドルに達した。ステーブルコインが引き続き交換や決済のインフラとして機能していることを示している。
いわゆるクジラの保有額は390億ドル、イールド系プロトコルは93億ドルで、後者は前年からおおむね倍増した。
銘柄別に見ると、保有の集中度には大きな差がある。USDT、USDC、DAIでは、上位10ウォレットの保有比率は供給量の23〜26%にとどまった。
これに対し、その他の銘柄では上位10ウォレットが供給量の60〜99%を保有していた。USDSは規模が69億ドルあるにもかかわらず、上位10ウォレットで90%を占める。USD0ではこの比率が99%に達した。
こうした結果からは、供給量の大きさだけでは流動性の厚みや、ドルとの連動が崩れるディペッグリスクを十分に測れない実態が読み取れる。
送金動向では、2026年1月のステーブルコイン送金総額は10兆3000億ドルと、前年の2倍超に拡大した。特にチェーンごとの差が目立つ。
Baseは供給量が44億ドルにとどまる一方、送金額は5兆9000億ドルで首位となった。Ethereumは2兆4000億ドル、Tronは6820億ドル、Solanaは5440億ドルだった。
銘柄別では、USDCの送金額が8兆3000億ドルに達し、USDTの1兆7000億ドルを大きく上回った。供給量ではUSDTがUSDCの2.7倍あるものの、実際の流通ではUSDCの回転率の高さが際立った。
用途別では、最大の使途は分散型取引所(DEX)での流動性供給・回収で、金額は5兆9000億ドルだった。ステーブルコインがオンチェーンのマーケットメイクにおける基盤資産として機能していることを裏付ける。
フラッシュローンは1兆3000億ドルで、自動化された裁定取引や清算ループに用いられた。中央集権型取引所の入出金と内部振替は合計5990億ドル、ブリッジの預け入れ・引き出しは280億ドルだった。
発行体による運用では、ミントやバーン、ペッグ調整に伴う取引が1060億ドルとなり、前年の約5倍に増加した。送金総額の90%は、こうした識別可能な活動区分に分類されたという。
Duneのデータセットでは、主要15銘柄に加え、20種類超の通貨建てで発行される200種類超のステーブルコインも追跡対象としている。
このうちユーロ建てステーブルコインは17トークン、供給量は9億9000万ドル。ブラジルレアル、日本円、ナイジェリアナイラ、ケニアシリングなどを含め、6大陸にまたがる59トークンがすでにオンチェーンで流通している。もっとも、非ドル建てステーブルコインの総供給量は12億ドルにとどまり、市場全体に占める比率はなお小さい。