写真=Shutterstock

Ethereum Foundation(EF)は、今後10年を見据えた長期技術ロードマップ「Strawmap」を公表した。2029年までに計7回のハードフォークを実施し、レイヤー1(L1)の高速化やレイヤー2(L2)の大幅な拡張、量子耐性暗号の導入、プライバシー保護機能の強化を進める方針だ。

ブロックチェーンメディアのCoinDeskは26日(現地時間)に報じた。文書はEFの研究者、ジャスティン・ドレイク氏が公表したもので、「Strawmap」は「strawman」と「roadmap」を組み合わせた造語。L1プロトコルの長期的なアップグレード方針を示すたたき台として位置付けられている。

計画では、2029年までに7回のハードフォークを通じてネットワークを段階的に刷新する。ハードフォークは、参加するすべてのノードにソフトウェア更新を求める大規模アップグレードで、ブロックチェーンの仕様に大きな変更を加える。

ロードマップは5つの中核目標を掲げた。1つは、EthereumのメインチェーンであるL1の取引確定時間を数秒レベルまで短縮し、毎秒1万件規模の処理能力を確保することだ。

あわせて、ArbitrumやOptimismなどのL2ネットワークについては、処理能力を毎秒1000万件まで引き上げる構想を示した。スケーラビリティの拡大に加え、量子耐性暗号の採用や「Shielded Transfers」によるプライバシー強化も重点項目に盛り込んだ。

中でもL1の確定時間短縮は、今回の構想の柱の1つとなる。現状のEthereumでは、取引の最終確定まで約16分かかるという。

EFは新たな合意アルゴリズム「Minimmit」の導入により、確定時間を8秒水準まで縮める計画だ。共同創業者のビタリク・ブテリン氏は、ブロック生成間隔を示すスロットタイムについて、現在の12秒から8秒、6秒、4秒へと段階的に短縮し、最終的には2秒まで引き下げられるとの見方を示した。

この手法についてブテリン氏は、ネットワーク全体を一度に置き換えるのではなく、構成要素を順次入れ替えていく「テセウスの船」型の改編になぞらえて説明している。

セキュリティ面では、量子コンピューティングを見据えた対策も打ち出した。量子コンピュータが既存の暗号方式を脅かすまでにはなお時間があるとの見方もあるが、EFはこれを具体的な技術課題として位置付け、ハッシュベース署名の導入を進める方針だ。

既存の公開鍵暗号が解読された場合でも安全性を維持するための措置としている。ドレイク氏は、量子攻撃に脆弱な要素として、合意レイヤーのBLS署名、データ可用性に関わるKZGコミットメントと証明、EOA署名のECDSA、アプリケーションレイヤーのZK証明などを挙げ、段階的に対応できるとの認識を示した。

プライバシー面では、「Shielded Transfers」機能の追加を予定する。現在のEthereumネットワークでは全取引が公開されているが、この仕組みによって取引額や送受信者情報を秘匿できる可能性がある。

今回のロードマップは、短期的な価格上昇を狙った施策というより、合意構造や暗号方式、スケーラビリティモデル全体を見直す長期プロジェクトの色彩が濃い。もっとも、市場の反応はなお慎重とみられる。

今後数年にわたり予定されるアップグレードが実際の性能改善につながるのか、またそれが市場評価の変化を促すのかが注目点となる。

キーワード

#Ethereum #Ethereum Foundation #Strawmap #ハードフォーク #L1 #L2 #量子耐性暗号 #Shielded Transfers
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.