世界の通信機器ベンダーが、5Gスタンドアロン(SA)への移行を追い風に、AI対応ネットワーク分野で攻勢を強めている。韓国の移動通信大手3社が次世代インフラ整備に乗り出したことで、Ericsson、Nokia、Huaweiなど主要ベンダーはAI-RANや自律ネットワーク関連技術の商用化を急いでいる。
業界によると、各社は「AI時代のネットワーク」を次の成長テーマに位置付けている。高速・大容量の5G基盤にAIを組み合わせ、新たな需要の取り込みを狙う構えだ。
なかでも5G SAは、AI時代を支える中核インフラとして重要性が増している。従来のノンスタンドアロン(NSA)が4G LTEのコアネットワークに依存するのに対し、5G SAは5G専用コアを採用する。
AIサービスの拡大に伴い、サーバー側にリアルタイムで送信される大容量データが増え、アップリンクトラフィックも膨らんでいる。5G SAはNSAに比べ、低遅延、ネットワークスライシング、高速データ伝送の面で優位性があり、増大するトラフィックをより効率的に処理できる。
韓国の科学技術情報通信部は先に、3G・LTE向け周波数計370MHz幅の再割り当て条件を公表し、5G SAへの移行を義務付けた。これにより、通信機器ベンダーにとっては新たな商機が広がり、AIを活用した基地局技術の本格導入にも弾みがつきそうだ。
Ericssonは最近、韓国で開いた記者懇談会で、5G SA、6G、AIベースの自律ネットワークを軸とするロードマップを示した。AIトラフィックの急増により、既存技術だけでは必要な性能を確保しにくくなっているとして、5G SAと6G、自律ネットワークを組み合わせたインフラ再設計が欠かせないと訴えた。
同社は自社シリコン「アイザック」(ASIC)にニューラルネットワークアクセラレータを搭載し、AI演算性能を10倍に高める技術などを打ち出している。
基地局にAIを組み込む技術として注目されるのが「AI-RAN」だ。単一装置で通信機能とAIサービスを同時に提供する次世代基地局技術で、通信トラフィックの処理に加え、AI演算を通じて無線ネットワークリソースを効率的に再配分できるという。
こうした技術は基地局性能の向上に加え、ネットワークが自律的に状態を把握し、最適化や障害復旧を行う「自律ネットワーク」への発展にもつながるとみられている。
Nokiaは最近、SK TelecomとAI-RANの実証に成功した。AIサービスを処理するGPUと、通信機能の一部を担う専用アクセラレータを併用する方式を開発したという。
KTとは、AIベースのビームパターン最適化技術を検証した。AIが多様なネットワークデータをリアルタイムで分析し、基地局信号を能動的に再構成する仕組みとしている。
LG Uplusとは「クラウドRAN」技術を検証した。基地局ごとに専用ハードウェア上で動かしていたソフトウェア機能を、クラウド環境の仮想化された中央サーバーで実装する技術で、装置効率と拡張性を両立できるとしている。
HuaweiもAIベースのソリューションを前面に押し出している。AIが障害を自律的に復旧し、消費電力も抑える次世代通信ネットワーク向けソリューションを開発した。「通信ファウンデーションモデル」を通じて、自律ネットワーク分野で主導権確保を狙う考えだ。
同社は来月開催されるMWC26で、こうした次世代ソリューションを公開する予定としている。
業界では、こうした動きは6G本格化を前にした主導権争いの一環とみる向きが強い。関係者は「5G SAとAI対応ネットワーク市場を先行して押さえた企業が、6G時代でも主導権を握る可能性がある」と指摘し、「韓国での5G SA市場の立ち上がりが、今後の競争構図を左右する変数になる」と話した。