HPのロゴ。メモリ価格上昇への対応策を示した(写真=HP)

HPは、メモリ価格の急騰が続く中でも、在庫の先行確保や製品構成の多様化を通じて収益の防衛を進めている。メモリ調達費は前年同期比で約100%増え、製造原価に占める比率も35%まで上昇したが、供給網の強化とサービス収益の拡大で影響の吸収を図る。

TechRadarとArs Technicaによると、HPは2月25日(現地時間)に発表した2026会計年度第1四半期決算で、こうしたコスト上昇を明らかにした。メモリ市況の逼迫は当面続く見通しとしている。

HP経営陣は、メモリ単価の上昇が市場全体の需要鈍化につながる可能性があるとみる。一方で、価格の最適化に加え、ITサービスや周辺機器などハードウェア以外の収益比率を引き上げることで、収益構造の安定化を進める考えだ。カレン・パークヒルCFOが説明した。

供給面では、機動的なサプライチェーン運営が対応の柱となる。ブルース・ブルサード暫定CEOは、長期供給契約によって必要数量を確保する一方、新規サプライヤーの開拓も進めていると説明した。部品認証にかかる期間も半減させ、市場環境の変化に迅速に対応できる体制を整えているという。

また、既存の調達網を補完するため、中国のCXMTをはじめとするアジア系チップメーカーとの連携を広げる動きも進めている。あわせて、AIを活用したエンドツーエンドの計画プロセスを導入し、複雑化する物流コストの最適化にも取り組む。

製品面では、メモリ構成に幅を持たせたモデル展開を進め、顧客の選択肢を広げる方針だ。高性能メモリへの依存度を調整しつつ、実用性を重視した構成の製品を拡充することで、供給の偏りが続く局面でも幅広い需要の取り込みを狙う。

単純に仕様を引き下げるのではなく、利用環境に応じた構成を提示しながら価格競争力を維持するのが狙いだ。ケタン・パテルパーソナルシステム部門社長は「シリコンの多様性を活用し、顧客に幅広い選択肢を提供することで、需給バランスの是正に注力している」と述べた。

こうした取り組みを背景に、HPの第1四半期のパーソナルシステム部門の売上高は前年同期比11%増の103億ドル(約1兆5450億円)となった。PC販売台数も2桁成長を維持し、とりわけ法人向けPCの底堅い需要が業績を支えた。

下半期もメモリ需給の逼迫は続く見通しだが、HPは調達網の強化とAIを軸とした業務改革を進め、不透明な市場環境への対応を急ぐ。

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