Samsung Displayは2月26日、パネル内蔵型のプライバシー保護技術「Flex Magic Pixel(FMP)」を適用したスマートフォン向けOLEDが、UL Solutionsの「プライバシーディスプレイ」検証を通過したと発表した。正面からは鮮明に見える一方、斜め方向からの視認性を大きく抑えるのが特徴だ。
UL Solutionsの検証では、パネルを45度および60度に傾けた状態で360度回転させ、正面と比べて画面の明るさがどの程度低下するかを測定した。Samsung Displayによると、FMPを適用したOLEDの側面輝度は、45度で正面比3.5%、60度で0.9%以下だった。
同社は、AI時代の進展でデータ利用が増えるなか、公共の場でスマートフォンを使う際の個人情報漏えいへの懸念が高まり、端末メーカーの関心も強まっていると説明する。従来は覗き見防止フィルムを貼り付けるケースが多かったが、不要な場面でも画面が暗くなる点が課題だったという。
FMPは、ピクセル単位で視野角を制御し、プライバシー保護機能のオン・オフを切り替えられる技術。オフ時には正面視での輝度低下を抑え、画質を維持できるとしている。
技術の中核は、数マイクロメートル単位のサブピクセルを制御して光の拡散度合いを調整するパネル設計と、微細蒸着工程にある。Samsung Displayは2020年以降、FMPの実現に必要な中核技術について約150件の特許を出願し、競争力を高めてきたとしている。
同社は一部サブピクセルから出る光の拡散を制御するため、ブラックマトリクス(BM)の設計構造も見直した。BMはRGBの各サブピクセルを区分し、サブピクセル間の混色を防ぐOLEDの中核構造。通常は単層だが、同社はBMを多重に配置する「多重遮光構造」を開発した。
さらに、高輝度・低消費電力を特徴とする無偏光板OLED技術「LEAD」と組み合わせることで、FMP技術を完成させた。Samsung DisplayはこれをLEADの進化版と位置付け、「LEAD 2.0」として顧客企業に訴求している。
イ・ホジュン Samsung Display中小型事業部商品企画チーム長(副社長)は、「LEAD 2.0は、あらゆる方向からの視認を抑えてセキュリティ性能を高めると同時に、オンデバイスAI時代の大きな課題である電力効率の改善にもつながる技術だ」とコメントした。今後もスマートフォン利用者の利便性向上に向け、新技術の開発に注力する考えを示した。