KOSPIは26日、取引時間中に6300台へ上昇し、時価総額も5000兆ウォン(約550兆円)を超えた。半導体大手を中心とする主力株高に、自動車株や証券株の上昇、バリューアップ政策や商法改正を巡る期待が重なり、相場全体を押し上げた。一方で、株価指標の上昇や空売り残高の積み上がり、米国の政策不透明感など、過熱リスクも意識されている。
韓国取引所によると、KOSPIは前日に終値で初めて6000を上回った後、26日は6121.03で取引を開始した。場中には6313.27まで上昇し、高値を更新した。
主力のSamsung Electronicsは前日比7.25%高の21万8250ウォン(約2万4010円)を付けた。SK hynixも7.76%高の109万7000ウォン(約12万670円)で引け、いずれも過去最高値を更新。指数上昇をけん引した。
KOSPIは2021年1月7日に初めて3000を突破し、2025年10月27日に4000台へ乗せた。2026年1月27日に5000台に定着した後、2月25日に6000を突破。今回はその勢いを保ったまま、6300台まで水準を切り上げた。
3000から4000までには約4年を要したのに対し、4000から6000、さらに6300までは数カ月にとどまった。上昇ペースは大きく加速している。
2025年のKOSPIの年間リターンは75.6%と、主要20カ国・地域(G20)の中で首位だった。2026年に入ってからも上昇率は40%を超えており、世界の投資マネーが韓国株の組み入れ比率を引き上げるとの見方も広がっている。
◆半導体・自動車・証券が相場を主導
今回の急伸を支えた最大の要因は、AIブームを背景とするメモリー半導体市況の改善だ。Samsung ElectronicsとSK hynixは、AIサーバー向けHBMや次世代DRAMの需要拡大を追い風に業績期待が高まり、大統領選以降のKOSPI時価総額増加分の半分超を占めた。
1月19日にKOSPIが初めて4900を突破した局面では、Hyundai MotorとKiaを中心とする自動車株の上昇が指数を押し上げた。Hyundai Motorは26日に15%超上昇し、時価総額3位に浮上した。
2月4日に5300を超えた際には、Samsung Electronicsが韓国企業として初めて時価総額1000兆ウォン(約110兆円)を突破したことが買い材料となった。Hyundai Motor、LG Energy Solution、Hanwha Aerospaceなど上位銘柄もそろって上昇した。
2月19日の旧正月連休明け最初の取引日には、KOSPIが寄り付き直後に初めて5600を上回った。自社株消却への期待を背景に証券株が急騰し、売買代金の増加と指数上昇の両面で相場を支えた。
Mirae Asset Securitiesのほか、SK Securities、Sangsangin Securities、Hyundai Motor Securitiesなど複数の証券株が52週高値を更新し、バリューアップ関連銘柄として存在感を高めたことも特徴だ。
◆バリューアップ、商法改正、税制改編が支援材料に
今回の上昇相場が過去の半導体主導局面と異なるのは、いわゆるコリア・ディスカウント是正に向けた資本市場改革が同時並行で進んだ点にある。
イ・ジェミョン政権は商法改正を繰り返し進め、少額株主の権限強化、自社株消却の義務化、経営権防衛を目的とした自社株活用の制限などの制度化に向けた法整備を進めた。
政府は2024年に導入した企業バリューアップ・プログラムを通じ、上場企業に企業価値向上計画の開示を求めた。配当、資本効率、自社株政策などの具体策の提示を促し、誠実に履行する企業には税制面のインセンティブを付与した。
2026年から本格施行された配当所得の分離課税は、高配当株や金融株、持株会社の投資妙味を高めた。これが配当性向の引き上げや自社株消却の拡大を促し、関連ETFの高いパフォーマンスにもつながった。
株価操作への罰則強化、上場廃止や開示ルールの整備、取引透明性の向上も、コリア・ディスカウント緩和につながる要因として評価されている。
政府が株式市場を「生産的金融」の中核と位置付け、不動産に偏った資金を資本市場へ誘導する方針を維持してきたことも、政策への信認を支えたとの見方が出ている。
◆コリア・ディスカウント是正のシグナル、市場の位置付けにも変化
KOSPI6000は、韓国上場企業の低いPBRや配当性向、不透明なガバナンスに象徴されてきたコリア・ディスカウントが、一定程度解消に向かっていることを示すシグナルと受け止められている。
企業は自社株消却や増配、非中核資産の整理を通じて資本効率を高めており、これまで出遅れていたバリュー株、金融株、持株会社にも再評価の流れが広がっている。
株高は家計の金融資産構成にも変化をもたらしつつある。韓国市場が世界でも高いリターンを続ける中、株式やETFによる長期投資志向が強まっているためだ。不動産に集中していた資金が分散すれば、不動産市場の安定にも寄与するとの期待がある。
企業にとっても、株価上昇と時価総額の拡大は、増資や社債発行など資金調達環境の改善につながる。投資余力を広げる効果も見込まれる。
市場では、短期的な過熱感が意識される一方、企業利益の拡大が続けば、なお上値余地はあるとの見方も根強い。半導体市況が想定以上に回復し、AIサーバー投資やHBM4、次世代DRAMの需要が続けば、Samsung ElectronicsとSK hynixを中心に一段のリレーティングが進む可能性があるとの分析だ。
その前提として、バリューアップ政策の実効性確保と、税制・商法改正の一貫性維持が重要な条件に挙がる。
企業が公表した価値向上計画を着実に実行し、政府が空売り規制や開示制度、ガバナンス規律を政治要因から切り離して運用できれば、韓国市場は利益成長を軸に6000台でも安定的な上昇基調を維持できるとの見方が出ている。
◆過熱懸念と内外の変動要因、焦点はリスク管理
もっとも、複数の指標は過熱感を示している。
KOSPIは5000台に定着してから1カ月もたたないうちに6000を突破した。価格調整は限定的で、実質的には時間調整にとどまっている。時価総額上位銘柄のPERやPBRも過去平均を上回る水準まで上昇しており、相場急騰の反動で、小さな悪材料でも値動きが荒くなりやすいとの指摘がある。
空売りや貸株残高の増加も重荷だ。
韓国株の下落に備える貸株残高は150兆ウォン(約16兆5000億円)前後、空売りの純保有残高は20兆ウォン(約2兆2000億円)を超え、いずれも過去最高水準を更新した。KOSPIが6000に近づくにつれて恐怖指数も上昇しており、市場参加者の少なくない割合が短期調整を警戒していることを示している。
外部要因としては、米国の通商・金融政策を巡る不透明感や、世界のAI・テクノロジー株の業績モメンタム鈍化の可能性が挙げられる。
NVIDIAなど米主要AI銘柄の決算発表後に調整色が強まれば、韓国の半導体株やIT株にも波及する可能性がある。米連邦準備制度理事会(Fed)の利下げペースの変化は、ウォン相場や海外投資家の需給に直接影響する。
国内要因では、不動産プロジェクトファイナンス(PF)の不良債権処理の遅れ、限界企業の構造改革、家計債務負担などが潜在リスクとして意識されている。
また、バリューアップ政策が短期的な株価対策にとどまったり、政権や政治情勢の変化で後退したりすれば、投資家の信認が損なわれ、政策への期待が政策リスクへ転じる可能性もある。
専門家は、KOSPI6000以降の政策運営について、短期的な相場下支えではなく、安定的な上昇と市場体質の改善に軸足を置くべきだと指摘する。
金融投資業界の関係者は「企業のバリューアップ計画の履行状況を点検し、利益に基づく配当政策や自社株政策を定着させることが重要だ。少額株主の権利強化、空売り制度の改善、公正な市場秩序の確立も今後を左右する」と話す。そのうえで「家計の長期・分散投資を促す税制や年金制度の整備に加え、不動産と株式の間の資金移動に伴う金融安定対策、不動産PFや脆弱債務者の管理など、実体経済リスクを和らげる施策も並行して進める必要がある」と述べた。
KOSPI6000が一時的な高値に終わるのか、それとも韓国資本市場の体質改善の出発点となるのか。今後は、こうした政策課題をどこまで着実に実行できるかが問われる。