Daishin Securitiesが、KOSDAQ上場企業の株価操縦事件を巡って検察の本社捜索を受けた。活況が続く資本市場の裏側で、証券業界の内部統制の実効性に改めて疑問符が付いている。
業界関係者によると、ソウル南部地検の金融・証券犯罪合同捜査部は最近、ソウル市中区のDaishin Securities本社などを家宅捜索した。京畿道内の支店に在籍していた部長級社員A氏について、資本市場法、金融実名法、電子金融取引法違反の疑いで捜査しているという。
A氏は2024年末から数カ月にわたり、外部の株価操縦グループと共謀し、KOSDAQ上場企業の株価を人為的につり上げた疑いが持たれている。この過程で、1000ウォン台半ばだった当該銘柄は4000ウォン台まで急騰した。検察は、グループの不当利得が数十億ウォン規模に上るとみている。
Daishin Securitiesは昨年6月、自社監査でA氏による異常取引の兆候をいち早く把握したと明らかにしていた。その後、内部調査を踏まえて同8月にソウル南大門警察署へ刑事告発し、社内で重い懲戒処分を行ったうえで、A氏を年末ごろに退職処分とした。
同社は今回の件について、「会社として組織的に関与した事実はなく、管理・監督上の問題でもない。個人社員による逸脱行為だ」との立場を示している。あわせて、「ライム問題以降、全社的に進めてきた内部統制体制の高度化と、コンプライアンス監視組織の専門性強化が早期把握につながった」と説明した。
ただ、すでに告発済みの事案に対し、検察が本社捜索という強制捜査に踏み切ったことで、捜査の焦点が個人の不正にとどまらず、組織的関与や全般的な管理体制の不備の有無に広がる可能性もあるとの見方が出ている。
Daishin Securitiesは2019年、ライム・アセット・マネジメントのファンド償還停止問題を巡り、盤浦WMセンターを中心にリスク告知義務に違反して大規模にファンドを販売した経緯がある。当時はセンター長が懲役2年の実刑判決を受け、会社側は内部統制基準の強化を約束した。その後、オプティマスファンドの販売過程でも論争に巻き込まれた。
こうした経緯を経て、同社は2024年12月に自己資本3兆ウォンの要件を満たし、国内10番目の総合金融投資事業者に指定された。ただ、超大型投資銀行への飛躍を見据える重要局面で、部長級幹部による株価操縦関与の疑いが浮上し、市場では懸念が広がっている。
内部統制を巡る問題はDaishin Securitiesに限らない。検察は先月末、Meritz Financial Groupの自社株買い代行を巡って浮上したインサイダー取引疑惑を確認するため、NH Investment & SecuritiesとSamsung Securitiesの本社を家宅捜索した。
直近3年間では、主要証券会社の役職員による違法行為に伴う「けん責」以上の重懲戒が400件を超えており、内部統制を巡る議論は絶えない。金融監督院の資料によると、昨年に証券会社が金融当局から受けた検査・制裁は計55件と、前年の23件から2倍超に増えた。
金融監督院長は10日に開かれた証券会社CEO懇談会で、「一部役職員による不公正取引や、絶えない金融事故は、内部統制の失敗を示す明白な事例だ」と指摘したうえで、「いま必要なのは規制中心の対応ではなく、自律と責任に基づく内部統制システムの定着だ」と述べた。
不祥事が相次ぐなか、各証券会社は組織改編や社長直轄の専担部署新設を通じて信頼回復を急いでいる。NH Investment & Securitiesは昨年、高位役員のインサイダー取引疑惑が広がると、代表取締役が直接チーム長を務める社長直轄の内部統制TFを新設し、全役員の株式取引を全面禁止する制度も導入した。
Korea Investment & Securitiesは、過去のファンド不完全販売を巡る懸念への対応として、社長直轄の消費者保護TFを立ち上げた。SK Securitiesも、ムグンファ信託の株式担保融資問題を受け、取締役会主導の責任経営を強化し、金融消費者保護室など関連組織を本部に格上げした。
もっとも、金融投資業界内では、こうした対応は事件発生後の収拾に偏った事後対応にすぎないとの指摘もある。証券業界関係者は「最近の国内株式市場の活況で個人投資家の流入が進み、それに伴って紛争も増えている。常時監視の体制を整え、金融事故を未然に防ぐための根本的なシステム整備が必要だ」と話した。