韓国政府は、人工知能(AI)を国家と社会の全領域に広げる中期政策「韓国AI行動計画」を確定した。あわせて、国家情報システムの再設計に向けた政府インフラ改革の方向性と、AIで科学技術革新を加速する「K-ムーンショット推進戦略」も承認した。
国家人工知能戦略委員会は2月25日、ソウルスクエアで第2回全体会議を開き、「韓国AI行動計画(2026〜2028年)」を含む5件の議案を審議・議決した。
今回の行動計画は、今月10日の閣議報告を経て内容を補完し、正式に確定したもの。AI基本法に基づく法定計画に当たる。委員会は約100日で草案をまとめ、330の機関・団体を対象とした説明会などを経て最終案を取りまとめた。
計画は「AI3強への飛躍」をビジョンに掲げる。柱は、AIイノベーション・エコシステムの構築、国家全体のAI基盤の抜本転換、グローバルなAI基盤社会への貢献の3つで、12の戦略分野で構成する。
主な施策としては、著作権保護とAI活用の両立を図る法制度改正、ホワイトハッカーと連携してセキュリティ脆弱性を解消する制度の導入、官民のAI・データ政策を連動させるガバナンスの確立、国民の申請を待たずにAIとデータに基づく福祉給付を提供するための法改正、社会的な議論を踏まえたAI基盤社会推進計画の策定などを盛り込んだ。
会議では、政府インフラとガバナンスの改革方針もあわせて議決した。政府は、政府・公共部門のデータセンターに適用する安全基準を民間以上の水準に引き上げる。さらに、災害対応力と収容能力が限界に近づいている国家情報資源管理院の大田センターについて、2030年までに閉鎖する方針を示した。
また、国民生活への影響度を踏まえ、システムの類型ごとに復旧目標の基準を整備するなど、災害復旧(DR)体制の構築方針も定めた。データの重要度に応じて、機密(Classified)データは政府・公共データセンターへ、機微(Sensitive)データと公開(Open)データは民間クラウドへ移行する。
2026年には、大田センターで運用する693件のシステムを対象に、134件のDRシステムを優先的に整備する。このうち、D-Brain、郵便情報システムなど3つの中核システムを中心に、民間クラウドを活用したDR構築の先行プロジェクトを進める。
AI基盤による科学技術革新に向けた「K-ムーンショット推進戦略(案)」も承認した。国家科学AI研究センターを中核に据え、研究データ、GPU、AIモデル、自律実験室など科学技術AIの主要資源を統合し、産学研連携体制を構築する。
政府は2035年までに、先端バイオ、未来エネルギー、フィジカルAI、宇宙、素材、AI科学者、半導体、量子の8分野・12の国家ミッションをAIと結び付けて解決する目標を掲げた。
委員会はあわせて、ホワイトハッカーが常時セキュリティ脆弱性を通報し、各機関がこれに対応して公表する「セキュリティ脆弱性の通報・対応・公開制度」の導入ロードマップも確定した。2026年は科学技術情報通信部と国家情報院が主導して実証事業を実施し、2027年に参加対象を広げたうえで法制化を進める。
組織面では、AI時代のガバナンスの発展や国民統合を掘り下げる「AI民主主義分科」を新設する。既存の科学・人材分科は、人材領域を教育TFと統合したうえで、「教育・人材分科」として再編する。政府横断で立法の方向性を示すため、法律専門家らで構成する法律TFも発足させる計画だ。
ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官は「国家人工知能戦略委員会を中心に官民が総力を挙げ、AI3強の土台を築いた」と述べ、「今後はすべての省庁が本格的な成果創出に向けて協力することが重要だ」と強調した。
イム・ムニョン委員会常任副委員長は「今回の主要政策の議決で、政府の推進方向がより具体化した」としたうえで、「委員会として必要な政策調整と支援を惜しまない」と述べた。