写真=イラ・ボドナー氏(Ryze AI創業者)

広告運用の自動化を手掛けるスタートアップ、Ryze AIの創業者イラ・ボドナー氏が、Anthropicの「Claude」が自社を「殺した」とソーシャルメディアに投稿し、注目を集めている。ClaudeやManusの動きによって、同社の成約率が70%から20%へ急低下したという。

ボドナー氏によると、Ryze AIはGoogleやMetaの広告アカウントへのアクセス権を基に、AIが広告運用を自動で管理するサービスを開発してきた。これまで成約率は70%に達していたという。

だが、Claudeに加え、Meta傘下のManusがMeta広告コネクターを投入したことで、成約率は20%まで落ち込んだと説明した。

ボドナー氏は「Claudeは現時点では広告アカウント内で実際の変更を加えることはできず、分析にとどまっている。Google広告へのアクセス権もない。ただ、それも数カ月以内に可能になるだろう。今作っているものが無意味に見えてしまう」と述べた。

同氏はあわせて、主要なGTM(Go to market)分野を分析し、今後も残る領域と淘汰される領域についての見方を示した。CRMは引き続き堅調な分野だとしている。

その理由については、「Claudeは顧客データを保存しない。Clay、Apollo、RB2Bのようなリードデータベースも同じだ。AIが10億件規模の電話番号やメールアドレスを直接集めることはできない」と説明した。

一方で、外部への最初の接触を支援するアウトリーチ自動化や、その基盤となるサービスは近く消えていくとの見通しを示した。「AIに『YC創業者全員に自社サービスのメールを送って』と指示すれば、そのまま実行する。エージェントがドメインを購入し、自ら自動化をセットアップする日も遠くない」と語った。

広告クリエイティブ関連ツールについても同様の見方を示した。「数カ月以内にMetaとGoogleは、広告アカウント内でクリエイティブを直接生成するようになる。大手広告主向けの高品質なサービスは一部残るだろうが、中小企業向けの機能はプラットフォーム側に吸収・統合される」と述べた。

エージェント時代のマーケティングや流通の変化についても言及した。LLMと外部サービスを接続するMCP(モデルコンテキストプロトコル)が、新たなアプリストアのような役割を担うとの見方を示した。

「ClaudeがMCP経由でツールを選ぶようになれば、ユーザーは代替サービスを比較する機会すら失う。2008年7月にiPhone向けApp Storeが始まった時期に似ている」としている。

さらに、LLMの内部に広告市場が生まれる可能性も高いとみている。Googleがウェブサイトを結び付けたように、数千のチャットボットをつなぐ広告ネットワークを構築する企業が現れると予想した。

A2A(AI-to-AI)営業についても触れた。「AI同士の取引は、企業の既存戦略を崩す。AIエージェントは文書を読み、仕様を比較し、価格を分析する。デモを見ることもなければ、感情を動かされることもない」と指摘した。

もっとも、同氏は悲観一辺倒ではない。Ryze AI自身も、こうした環境変化に対応するため事業転換を進めているという。

ボドナー氏は「数週間前から本格的に方向転換を始めた。現在は、数百のアカウントを運用する大手広告代理店向けに、複雑なワークフローも構築している。中小企業向けには、AIベースの広告代理店サービスも販売する」と述べた。

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