中国で、地下駐車場の天井レール上を移動するEV充電ロボットの導入が広がっている。利用者がQRコードやWeChatのミニプログラムから充電を依頼すると、ロボットが車両の真上まで移動してコネクターを自動接続する仕組みで、専用の充電区画を設けなくても駐車スペースを充電に活用できる。
WeiboなどのSNSで公開された映像では、中国の複数都市の地下駐車場で、天井レール式の充電ロボットが稼働する様子が確認された。
利用者は空いている充電区画を探したり、順番を待ったりする必要がない。駐車した場所でそのまま充電できるため、駐車場全体を柔軟な充電インフラとして使える点が特徴だ。
EV専門メディアElectricが報じたところによると、この方式の最大の強みはコスト面の優位性にある。各駐車区画に充電器を個別設置するのではなく、1本のレール網で複数のスペースをカバーできるためだ。
実際、天井レール式充電システムを巡っては、商用化に向けた開発競争が進んでいる。中国のEVメーカーLi Autoと、車載向け高速協働ロボットを開発するCGXiは、レール式の無人充電システムを開発中だ。
米コンビニエンスストア兼ガソリンスタンドチェーンのWawaは、自社の充電ブランド「Wawa Charging」で展開する「HAVAロボット」について、充電器1ユニットで8台以上の駐車スペースをカバーできるとしている。
学術分野では、2024年にScienceDirect上の論文で示されたレール搭載型EV充電ロボットシステム「SkyvoltRobot」が、足元での商用導入に理論的な土台を与えたとみられている。
もっとも、充電速度には限界がある。この方式はレベル2のAC充電が前提で、BYDの1000kW級超高速DC充電器のような高速充電とは比較しにくい。その代わり、長時間駐車が見込まれるオフィスやショッピングモール、集合住宅などとの相性がよいと評価されている。
中国のモバイル充電ロボット市場も急拡大している。CATL子会社のCharGoのほか、NaaS、GGSN、VMRなどが地上走行型ロボットの導入を拡大している。
2030年までに、中国のEV全体の20%がロボット経由で充電される可能性があるとの見方もある。中国はすでに3140万台のEVと1440万カ所の充電口を抱えるが、なおEV2.2台に対して充電器1基にとどまる。こうした構造的な制約を補う手段として、モバイル型や天井レール型のソリューションが浮上している。
米国でも関連技術の導入が始まっている。Westfalia Technologiesは50kWのオーバーヘッド型システム「WEPLUG」を投入し、Gravityはニューヨークに500kWの天井型充電器を設置した。
ただ、西側諸国では依然として実証段階の取り組みが中心だ。それに対し、中国ではすでに商用化の局面に入りつつある。EV普及を急速に進めてきた中国は、充電のあり方そのものを変えることで、再び市場の主導権を握ろうとしている。