米ニューヨーク株式市場で、AIを巡る不安が再燃した。Citron Researchが公表した仮想シナリオが波紋を呼び、配達や決済、ソフトウェア関連銘柄に売りが広がった。IBMは13%急落し、2000年以降で最大の下落率を記録した。Bloombergが23日(現地時間)に報じた。
発端となったのは、週末に公表されたCitron Researchのレポートだ。Citronは22日、AIが世界経済に及ぼし得る混乱を描いた内容をソーシャルメディアに投稿した。
レポートでは、フードデリバリーサービスやクレジットカード会社を名指しし、AIエージェントがMastercardやVisaといった決済処理事業者の手数料を不要にしかねないとのシナリオを示した。
このレポートは、2028年6月を想定した仮想シナリオとしてまとめられたものだ。Citronは、AIによる破壊的な変化がホワイトカラーの大量失業や消費の減少、ソフトウェア関連融資の不良化を招き、景気後退に至る流れを描いた。一方、序文では「これは予測ではなくシナリオだ」と明記している。
23日には、AIスタートアップのAnthropicがブログで、自社の「Claude Code」がCOBOLの近代化に活用できると紹介した。COBOLはIBMのコンピュータで主に使われてきた旧来のプログラミング言語だ。これに続き、『ブラック・スワン』の著者として知られるナシーム・タレブ氏も、AI相場の脆弱さに警鐘を鳴らした。
こうした流れを受け、DoorDashは6%超下落した。American Express、KKR、Blackstoneも6%超安となった。Uber、Mastercard、Visa、Capital One、Apollo Global Managementも4%超下げた。
DoorDashの共同創業者アンディ・ファン氏は、Xへの投稿で「エージェントベースのコマースが業界を変えると確信している」としたうえで、「足元で構造変化が進んでおり、業界は適応しなければならない」と述べた。
Grizzle Investment Managementのポートフォリオマネジャー、トーマス・ジョージ氏は「最悪のシナリオ通りに事態が進まなかったとしても、レポートが提起した混乱への懸念は現実的だ」と指摘した。そのうえで、「これを読めば、当該銘柄を保有する投資家の確信は揺らぐだろう」と語った。
一方で、レポートに対する反論も出ている。JonestTradingのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「市場は実際の悪材料に対してさえ驚くほどの回復力を示してきた。それなのに、事実上フィクションにすぎない1本のシナリオで動揺した」と述べ、「注目すべき反応だ」と語った。