JobKoreaは1月末に開催した創立30周年記念イベント「JOBKOREA THE REBOOT」で、「履歴書の解体」を打ち出した。AIとデータを基盤とするデジタルプロフィルを採用の中核に据え、企業と人材のマッチングの在り方そのものを見直す構えだ。2026年上半期には、AIベースの次世代キャリアエージェント2種と独自技術「Context Link」を順次投入する。
イベントで基調講演に立ったユン・ヒョンジュンJobKorea代表は、履歴書中心の採用慣行は同社が目指す方向性と合致しないと説明した。定型文書が支配的だったアナログ時代の産物である履歴書に代わり、AIとデータに基づくデジタルプロフィルを中心とするHRプラットフォームへ移行すべきだと訴えた。
ユン代表は、AIが人材や企業の文脈を理解できる段階に入ったことで、履歴書をデジタルプロフィルに置き換える構想はもはやスローガンではなく、実装可能な段階にあると強調した。
同氏によると、デジタルプロフィルはAIが理解できる多様な形式の情報、いわゆるマルチモーダルデータを基に構成される。単に一度作成して終わるものではなく、継続的にデータが蓄積されることで個別最適化が進み、単なる経歴情報を超えて、個人の文脈や背景まで反映できるという。
ユン代表は「履歴書は過去を確認するためのものだ。採用側は、どの学校を出たか、専攻は何か、これまでどのような経歴を積んできたかといった情報を基に判断せざるを得ない。個人の文脈が十分に見えない中で人が判断するため、不確実性や誤りが生じる」と述べた。その上で、採用体験の観点からも履歴書からデジタルプロフィルへの世代交代が必要だとし、JobKoreaがその転換を主導する考えを示した。
JobKoreaが次世代HRプラットフォーム戦略で掲げるキーワードは「つながり」だ。デジタルプロフィルは、その「つながり」を支える中核インフラと位置付ける。プロフィルの精度が高まれば、求職者と仕事、産業、人とのマッチングの質も高まるという。
ユン代表は、採用プラットフォーム市場ではマッチングの偏在が深刻だと指摘する。「ある企業には応募が集中する一方で、求人広告を出しても応募が集まらない企業も多い。企業は人材確保に苦しみ、不確実性は高まっている。求職者も、もはや知名度だけで会社を選ぶ時代ではない。能力や価値観、生活パターンが合うか、自分の役割を果たせるかまで考えている。こうした課題をプラットフォームが解決しなければならない。マッチングの水準を引き上げ、最も可能性の高い人材を企業につなぐプラットフォームになる」と語った。
同氏は、JobKoreaの本質的な競争力もデータにあると説明した。技術によってマッチングの課題を解決できるとみる背景には、30年にわたり蓄積してきたデータ資産への確信があるという。
ユン代表は「JobKoreaには30年分の大規模な定量データがある。一方で、これまではその背後にある文脈を十分に捉えにくかった。しかし、AIの進化によってそれが可能になってきた。韓国の主要プラットフォーム企業で経験を積んだAI・ソフトウェアエンジニアが加わり、ビジョンの実装を進めている」と述べた。
JobKoreaは、Albamon、Ninehire、Nook、外国人採用サービスClibなど、仕事に関する課題解決を目的とした複数のプラットフォームも運営している。直近では企業情報サービスのJobPlanetも買収した。
同社は、JobPlanetの買収もマッチング高度化戦略の一環と位置付ける。ユン代表は「定量データと定性データを結び付けられる点で、単なる買収以上の意味がある。数字の背後にある文脈まで理解できるプラットフォームへの進化に役立つ」と説明した。
JobKoreaは、こうした戦略を具体化する施策も順次打ち出している。「JOBKOREA THE REBOOT」では、2026年上半期に段階投入するAIベースの次世代キャリアエージェント2種を公開した。
同社によると、AIキャリアエージェントは単純な条件マッチングを超え、個人と企業が置かれた状況や文脈を理解した上で、次の選択肢を提案する仕組みとして設計した。
「Talent Agent」は、人事担当者向けの推論ベースの対話型人材探索サービスだ。組織の状況や求める人材像を自然言語で入力すると、AIが過去の採用データと社内外の人材情報を統合分析し、最適な候補者を提案する。単なる履歴書検索ではなく、採用の文脈を理解するAIエージェントである点を特徴とする。
ユン代表は「Talent AgentはWorkSphere内にとどまらず、外部の人材プールも横断して候補者を探し出し、つなぐ。複数のプラットフォームを回る必要はなくなる」と述べた。
「Career Agent」は、求職者向けの超個別化キャリア推薦サービス。求人の閲覧履歴、応募履歴、活動パターンなどの行動データを分析し、個人に適した機会を先回りして提示する。
ユン代表は「全員が同じ求人を見る時代を越え、それぞれの個人にとって最も意味のある情報だけが届く採用体験を実装した」と話した。
JobKoreaは、Talent AgentとCareer Agentの実現に向けて、独自のAIマッチング技術「Context Link」も開発した。
同社によると、Context Linkは仕事と人を立体的に理解するAIを掲げ、企業にとって最も可能性の高い人材をつなぐことに焦点を当てる。ユン代表は「定量データだけでは文脈や意図を捉えにくい。Context Linkは大規模言語モデル(LLM)と推論エンジンを基に分析するAIマッチングモデルだ」と説明した。
さらに同氏は、「多次元ベクトルによって、文脈や背景まで理解できるようにする」と述べた。
JobKorea SmartfitとHiring Centerも、Context Linkを適用したサービスだという。Smartfitは、企業の採用成果に応じて広告費を算定する成果報酬型モデルで、広告表示そのものではなく、実際の応募者流入を基準に費用を算定する。
クリック課金型の仕組みを採用しており、求職者が求人をクリックした場合にのみ費用が発生する。企業は求人を自由に登録・停止できる。ユン代表は「Smartfitでは、適合度の高い人材に広告が表示されるようにしている。質の高い応募につながっているというフィードバックを得ている」と述べた。
2026年上半期に投入する「Hiring Center」は、企業向けの統合採用管理サービスとして提供する。正規・非正規の採用を別々のプラットフォームで管理してきた不便を解消し、単一の窓口で求人登録から応募者管理、採用成果の分析まで行えるオールインワン環境を提供するという。
ユン代表は「一つの場所で求人を登録し、応募者を管理しながら、人材発掘までできるようになる」と述べた。