金価格の先行きは、景気や地政学、中国の需給動向など複数の要因に左右される。写真=Shutterstock

国際金価格が8カ月連続の上昇に近づいている。マクロ経済の先行き不透明感や地政学リスクを背景に安全資産需要が相場を支えているが、市場では過熱感に加え、相場を揺らしかねない潜在リスクも意識されている。

BeInCryptoが22日付で報じたところによると、Moody's Analyticsのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は、金融市場の不安定化を背景に相応の売りが出る可能性があると指摘した。

同氏は、リスクが最も大きいのは株式と社債としつつ、直近で調整局面を経験した暗号資産や金、銀も例外ではないとみている。米国の実質GDP成長率は2%台前半と潜在成長率の約2.5%を下回り、雇用市場にも鈍化の兆しが出ているという。

インフレも、米連邦準備制度理事会(Fed)が重視するPCEベースで3%前後にとどまり、金融市場の重荷となっている。これに加え、米国とイランの緊張の高まりや関税問題の再燃懸念、大規模な財政赤字も相場の不安定要因として意識されている。

なかでもザンディ氏は、レバレッジ型ヘッジファンドの資金が脆弱な米国債市場に大きく流入している点を問題視し、「一斉に出口へ向かえば、金利が急騰する可能性がある」と警告した。

一方で金は、代表的な安全資産として買いが続いている。予測市場データプラットフォームのKalshiによると、金価格が8カ月連続で上昇する可能性は高いという。

Bank of Americaのストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は「短期では原油を取引し、長期の安全資産としては金を保有すべきだ」との見方を示した。実際、世界の中央銀行による金保有量は、1996年以降で初めて米国債の保有量を上回ったとの集計もある。

こうした動きは、ドルを軸とする法定通貨体制へのヘッジ需要の強まりを映している。需給面でも不安定要因がある。

中国では春節後、金の不足感が強まり、一部店舗で金地金の販売中止や既存契約の返金対応が報告された。需要の急増と供給制約が重なり、価格上昇への期待を押し上げている。

市場の一部には、極端なシナリオとして金価格が1オンス=1万ドルに達するとの見方もある。ただ、テクニカル面では5100~5160ドルが主要なレジスタンスとして意識されており、短期的な調整余地も残る。

足元の金市場は、景気減速の兆候、インフレの高止まり、地政学的緊張、中国発の供給不足、そして債券市場の脆弱な構造という5つの要因の間で推移している。

安全資産需要が続けば、金価格は上昇記録をさらに更新する可能性がある。一方で、小さなショックでも値動きが大きくなるおそれがあり、投資家には慎重な対応が求められそうだ。

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