米国のドナルド・トランプ大統領が関税率を従来の10%から15%へ引き上げる方針を示した後も、暗号資産市場は大きく崩れなかった。暗号資産全体の値動きを示すTotal3指数は1%未満の下落にとどまり、ビットコインも6万8000ドル台を維持した。
Cointelegraphなどが2月21日(現地時間)に報じたところによると、トランプ大統領は既存関税への上乗せを即時に適用すると発表した。国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税賦課の計画が連邦最高裁で行き詰まったことを受け、1962年通商拡大法と1974年通商法を根拠に関税措置を進めているという。
これに対し、暗号資産支持者のアダム・コクラン氏は、この措置には法的な制約があると指摘した。同氏は「赤字国に対する関税は150日間に限られ、税率にも上限がある」との見方を示している。
過去のトランプ氏による関税関連の発表では、暗号資産市場や株式市場が大きく反応する場面もあった。今回は様相が異なり、ビットコインは6万8000ドル近辺、イーサリアムは4200ドル近辺で底堅く推移した。
Total3指数は1%未満の下落で7130億ドルとなった。関税引き上げの発表にもかかわらず、市場全体の反応は比較的落ち着いていた。
BlackRock、Fidelity、Grayscaleなどの主要投資家による暗号資産ファンドからの資金引き揚げがあったにもかかわらず、市場ではなお543億ドルの純流入が確認された。相場の下支え要因として意識された格好だ。
伝統的な金融市場には強い影響が及んだ一方、暗号資産市場は相対的に安定した値動きを維持した。市場では、暗号資産が独自の金融エコシステムとして存在感を高めつつあるとの見方も出ている。
もっとも、市場全体の投資家心理はなお慎重だ。一部では、相場低迷を受けてもビットコインやイーサリアム以外の銘柄へ分散投資を進める動きがみられる。
Robinhoodの暗号資産部門を統括するヨハン・ケルブラット氏は、「顧客は足元の相場低迷を買い場と捉え、ビットコインやイーサリアム以外の資産にも関心を広げている」と述べた。投資家が暗号資産特有のボラティリティや市場環境の変化を、これまで以上に受け入れつつあることがうかがえる。
同氏は、投資家の関心が単純な保有にとどまらず、ステーキングやDeFi(分散型金融)の活用にも広がっていると説明した。Robinhoodが昨年12月にステーキング機能を導入して以降、ユーザーの参加は活発化しており、暗号資産市場が単なる売買中心の局面から、実際の活用を伴う段階へ移りつつあることを示している。