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RWA(Real World Assets、実物資産)のトークン化が、暗号資産業界で改めて注目を集めている。過去には誇大な期待先行で終わった事例も少なくなかったが、足元では金融インフラ再編の文脈で見直しが進んでいる。BeInCryptoが19日(現地時間)に報じた。

RWAは、不動産や金、国債、株式といった伝統的な金融資産を、ブロックチェーン上でトークンとして発行・流通させる仕組みを指す。従来は流動性や取引時間に制約のあった資産を、24時間かつ国境をまたいで扱えるデジタル資産へ転換する狙いがある。

もっとも、初期のRWA市場は期待に見合う成果を上げられなかった。2018〜2019年に美術品のトークン化を掲げたMaecenasは、アンディ・ウォーホル作品の分割保有構想で注目を集めたが、流通市場の流動性不足や法的保護の不十分さが重荷となり、事業は失速した。

2022年末には、高利回りをうたったFreewayが崩壊し、約1億6000万ドル規模の資金が凍結された。実物資産に裏打ちされた収益モデルを掲げていたものの、透明性に乏しく、トークン価格も短期間で75%下落。RWAが実態を伴わないマーケティング文句にすぎないとの批判を招いた。

それでも、資産トークン化という発想自体の有効性は失われていない。直近の予測では、同市場は2030年までに9兆4300億ドル規模へ拡大し、2025〜2030年の年平均成長率は72%を超えると見込まれている。

投資家の関心にも変化が出ている。かつては「100倍銘柄」を狙うミームコインに資金が向かっていたが、足元では安定収益や実物資産への裏付けを重視する動きが広がる。伝統金融が抱えるアクセスの悪さや限られた取引時間、複雑な仲介構造を、ブロックチェーンで改善できるとの期待も背景にある。

ステーブルコイン発行大手のTetherも、RWA戦略を強めている。最近では、農業関連企業の持ち分取得や金保有、実業会社への投資など、実物資産の確保に積極姿勢を示している。米ドル連動トークンの発行にとどまらず、現物資産を直接保有する方向へ事業領域を広げている格好だ。

伝統的な金融機関も動きを速める。BlackRock、JPMorgan Chase、Franklin Templetonなどは、ブロックチェーンを活用した資産運用や決済インフラの整備を進めており、トークン化は実証段階から商用化フェーズへ移りつつある。焦点はすでに、「実現可能か」ではなく「どの程度のスピードで普及するか」に移っている。

一方で、リスクが消えたわけではない。過去に比べればラグプルの懸念は後退したものの、今後は規制の競合や法的責任の所在といった新たな課題への対応が問われる。トークン化が広がるほど、規制当局や大手金融機関の関与も強まる可能性が高い。

RWAは、暗号資産が理想としてきた完全分散型モデルとは異なり、中央集権的な金融システムとブロックチェーンが結びつくハイブリッド型の市場へ発展する公算が大きい。既存の金融秩序を壊すというより、その仕組みをブロックチェーン上に移し替える動きに近い。

最終的な争点は、市場規模そのものではない。10兆ドル市場が生まれるかどうか以上に重要なのは、その市場を誰が握るのかという点だ。法的枠組みや流動性、規制対応力を備えた大手機関が流通の主導権を握れば、RWAの拡大は分散型金融の理想ではなく、制度金融の延長線上で進む可能性が高い。

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