人工知能(AI)の進化により、企業向けソフトウェアの価値そのものが問い直されている。Snowflakeのスリダル・ラマスワミCEOは、AI時代に適切な対応を取れなければ、企業向けソフトウェア企業は単なる「データのパイプ役」にとどまりかねないと警鐘を鳴らした。OpenAIとの2億ドル規模の提携は、そうした危機感を踏まえた布石といえる。
テックジンの報道によると、ラマスワミCEOは、AIモデルを開発する企業が多様なデータへ直接アクセスできる環境を目指しているとみている。
その場合、データを扱う既存アプリケーション自体が負担になりかねない。ERPやCRMに組み込まれたAIアシスタントを介さずとも、中央AIが同じデータに直接アクセスできるようになれば、既存ソフトウェアを使い続ける理由は薄れるというのが同氏の見立てだ。
Snowflakeはこの変化への対応策として、自社を中央データ基盤としてAI陣営の中核パートナーに位置付ける戦略を進めている。その一環として、最近OpenAIと2億ドル規模のパートナーシップを結んだ。
この提携により、GPT-5.2などOpenAIのモデルは、SnowflakeのAIアプリケーション開発基盤「Cortex AI」上で直接利用できるようになる。Snowflakeとしては、単なるデータの通り道にとどまらないための戦略的な一手と位置付けている。
ラマスワミCEOは、顧客が中央AIに直接問い合わせ、既存の企業向けアプリケーションを使わないことを望むのであれば、それも受け入れるべきだとの考えを示した。
テックジンは、こうした発言について、ソフトウェアベンダーには単に顧客の要望に応えるだけでなく、他の手段に置き換えにくいほどの付加価値を示すことが求められていることを意味すると伝えた。
一方、AIが既存ソフトウェアを脅かすとの見方に対し、既存のソフトウェア企業からは反論も出ている。企業では現行のITスタックを前提に業務プロセスや各種ポリシーが構築されており、置き換えの対象はデータだけでなく日常業務全体に及ぶため、AIだけで既存のビジネススイートを簡単に代替するのは難しいという主張だ。
データ基盤市場でSnowflakeと競合するDatabricksのアリ・ゴドシCEOも、AIはSaaSを置き換えるのではなく、むしろその利用を押し上げていると述べた。Databricksでは、生成AIインタフェース「Genie」を通じてデータベース利用が急増しているという。
既存のSaaSシステムがAIに代替されるとの懸念について、ゴドシCEOは「置き換わるのは記録系システムそのものではない。核心は、ユーザーインタフェースが自然言語へ移行する点にある」と語った。