米連邦準備制度理事会(Fed)の研究チームが、予測市場プラットフォーム「Kalshi」を、マクロ経済に関する市場予想を把握する有力な手段として評価した。一部の指標では、アンケート調査や金融デリバティブといった従来手法を上回る予測精度も確認されたという。
Cointelegraphなどが19日(現地時間)に伝えたところによると、Fedの経済学者3人は論文「Kalshi and the Rise of Macro Markets」で、Kalshiが高頻度で更新される豊富な確率分布データを提供しており、研究者と政策当局の双方にとって有用だと指摘した。
論文は、Fed理事会の主任エコノミスト、アンソニー・ディアークス氏、リサーチ・アシスタントのジェラード・デイン・カツ氏、ジョンズ・ホプキンス大学の研究員ジョナサン・ライト氏が共同執筆した。
研究によると、Kalshiは2つの主要指標で従来手法を上回った。消費者物価指数(CPI)の予測では、Kalshiが示した期待値がBloombergコンセンサスと比べて統計的に有意な改善を示した。
Fedの金利政策の予測でも、Kalshi市場の中央値と最頻値は、利上げ・利下げの決定前日時点で連邦基金先物より高い精度を示した。研究チームはこれについても、統計的に有意な改善だと評価している。
研究チームは、「期待のマネジメントは現代のマクロ経済政策の中核だが、アンケート調査や既存のデリバティブ市場には限界がある」と指摘。その上で、Kalshiは市場参加者の見方をリアルタイムで直接捉えられると説明した。
Kalshiは、米国のCPIや雇用統計、国内総生産(GDP)の成長率、ガソリン価格などを対象とする予測市場を運営している。研究チームは、これらのデータを使うことで、特定の連邦公開市場委員会(FOMC)会合における金利決定の「リスク中立確率密度関数」を構築できると提案した。政策シナリオごとの発生確率を可視化できるという。
Fedは特に、主要な政策発表の前後に確率分布が大きく変化する点をKalshiの強みとして挙げた。Fed高官の発言や雇用統計の公表を受け、利下げ確率が短時間で大きく動く様子が観測されたとしている。
もっとも、論文はあくまで「議論を促すための予備資料」と位置付けられており、実際の金融政策決定に直接反映されるものではないとした。
Kalshiは今回の研究結果を歓迎している。Kalshiの最高経営責任者(CEO)、タレク・マンスール氏はX(旧Twitter)で、「FedがKalshiのデータに関する印象的な論文を発表した」と述べた。
一方、政府統計の信頼性を巡る疑問が浮上する中、投資家の間では代替的な経済予測ツールへの関心が高まっている。Goldman SachsのCEO、デービッド・ソロモン氏は1月、同行が予測市場への参入を検討していると明らかにしていた。
Polymarketなど類似プラットフォームの人気が高まる半面、一部の議員はインサイダー取引のリスクや賭博性の拡大を懸念している。予測市場が政策ツールとして活用されるのか、それとも新たな規制対象となるのかが、今後の論点となりそうだ。