CryptoQuantのチュCEOは、量子コンピュータの進展により理論上約689万BTCが攻撃リスクにさらされる可能性があると指摘した。写真=Reve AI

量子コンピュータの進展が、ビットコイン(BTC)の安全性を揺るがしかねないとの懸念が強まっている。オンチェーン分析企業CryptoQuantのチュCEOはSNSへの投稿で、理論上は約689万BTCが量子攻撃のリスクにさらされているとの見方を示した。これには、ビットコインの創設者サトシ・ナカモトに関連するとされる100万BTCも含まれる。

CoinPostは19日、CryptoQuantの分析を引用し、量子コンピュータが実用レベルの演算能力を備えた場合、ビットコインのウォレットの安全性が脅かされる可能性があると報じた。

ビットコインのセキュリティは、従来型コンピュータでは事実上解読が困難とされる楕円曲線暗号(ECC)に依存している。ただ、十分な処理能力を持つ量子コンピュータが実用化されれば、オンチェーンで公開された公開鍵から秘密鍵を逆算できる可能性があると指摘されている。

特に問題視されているのは、一度でも公開鍵がチェーン上に露出したアドレスだ。こうしたアドレスは構造的に脆弱になり得るうえ、そのリスクが長期にわたり残る可能性がある。

CryptoQuantによると、理論上脆弱となり得る約689万BTCのうち、約340万BTCは10年以上動きのない長期休眠アドレスが占める。現在の相場で数千億ドル規模に達し、チュCEOは量子攻撃を試みる経済合理性は十分にあるとの見方を示した。

対策としては、旧式アドレスの利用停止、耐量子アドレスへの強制移行、休眠コインのプロトコルレベルでの凍結などが取り沙汰されている。ただ、こうした措置は「個人の財産権を侵害しない」というビットコインの設計思想と正面から衝突しかねない。

このため、アップグレードに対応できない保有者は、既存の秘密鍵が事実上無効になるリスクも抱える。

チュCEOは、ブロックサイズを巡る対立が長期化してハードフォークに発展した事例や、SegWit2xが十分な合意を得られず頓挫した前例にも言及したうえで、「技術的な修正案は提示できても、社会的な合意形成は別問題だ」と強調した。

休眠コインの凍結は、過去の論争を上回る分断を招く可能性がある。合意形成に失敗すれば、量子技術の進展を背景に競合するビットコインのフォークが新たに登場する可能性も否定できない。

量子コンピュータ開発が加速するなか、業界では量子攻撃が現実化する時期を指す「Qデイ」が5年後なのか、10年後なのかを巡る議論も始まっている。技術的な解決策はなお研究段階にあり、コミュニティが分裂せずに合意へ至れるかは見通せない。

サトシ関連のコインを含む休眠資産をどう扱うかを巡る議論は、今後のビットコインネットワークの持続可能性を占う試金石になりそうだ。

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