テックコミュニティの一部で、OpenAIが次の一手としてSlack型のコラボレーションツールを自社開発すべきだとの見方が出ている。
そうした意見を示した1人が、起業家でスタートアップアドバイザーのショーン・ワン氏だ。X(旧Twitter)への投稿で、OpenAIがSlackのようなサービスを自ら手がければ「十分に勝算がある」との見方を示した。
ワン氏は、コラボレーションツールの開発は他社にとって参入しにくい領域であり、テックコミュニティの関心も集めやすいと指摘。ChatGPT Enterpriseの拡大や、コーディング分野の強化にもつながるとみている。
同氏はその理由として、現状のSlackが開発者目線で多くの課題を抱えている点を挙げた。投稿では「Slackは2019年に開発者コミュニティを捨て、企業市場へとかじを切った。Salesforceは2021年にSlackを277億ドルで買収した。その後、Slackは継続的に値上げし、AI機能の導入も停滞した。Slack AIは役立つ場面もあるが、見つけにくく、使いこなしにくい。パーソナライズもできず、障害も多い」と指摘した。
さらにワン氏は、「満足度は高くないにもかかわらず、テック業界のあらゆる組織がSlackを使っている」とも主張した。そのうえで、「改善の余地は大きい。開発者はSlack APIのコストや権限設定に不満を持ち、創業者は料金の高さに不満を漏らす。利用者はチャンネルの多さに悩み、要約ツールや通知のスパム的な挙動にも不満を抱えている」と付け加えた。
OpenAIは3カ月前、ChatGPTにグループチャット機能を追加した。ただ、現時点で社外に広く浸透しているとは言いがたい。それでもワン氏は、OpenAIとコラボレーションツールの組み合わせにはなお大きな可能性があるとみている。
比較対象として同氏が挙げたのがAnthropicだ。AnthropicはOpenAIより一貫した戦略を取ってきたとし、チャットやコラボレーション機能、Claude Codeを単一アプリにまとめ、Chrome上ではClaudeによるブラウザ操作機能も提供していると説明した。
これに対し、OpenAIについては機能が分散していると指摘する。「OpenAIはチャット、ブラウザ、コーディングの各アプリが分かれており、そのたびにログインし直さなければならない。後から統合しても出遅れは埋まらないだろう。Anthropicがすでにやったことを、ゆっくり追いかけるべきではない」とした。
そのうえでワン氏は、「OpenAI版のSlackは主導権を取り戻す好機になり得る。コーディングエージェントのインターフェースとしても機能する」と主張した。さらに、「Codexアプリに今なお欠けている大きな要素は、まともなマルチプレイヤー機能だ。人間とエージェントが一緒に働く姿を、チャットという理想的なオーケストレーションインターフェース上で実現できる」と述べた。
Slackの音声・ビデオ通話機能「Huddles」についても、より優れたリアルタイムのマルチモーダルAI機能を載せる余地があると指摘した。加えて、外部組織との連携を可能にする「Slack Connect」は、OpenAIが参考にしてよい事例だと位置付けた。
ワン氏は最後に、「今こそ、顧客組織のソーシャルグラフと業務グラフをChatGPTの上に重ね、OpenAIが最も得意とする形で、あらゆるインターフェースにエージェントとAIを組み込むべきだ」と訴えた。さらに、「ネットワーク効果は競合への乗り換えを1万倍難しくする。もちろん現在のようにSlack上に構築することもできるが、それでは移行が容易になり、自由に再創造する機会は得られない」と述べた。