サム・アルトマンCEO 写真=Shutterstock

OpenAIが、広告導入と企業向け事業の拡大という二つの面で収益化を急いでいる。ChatGPTへの広告表示に踏み切る一方、企業向け市場ではMicrosoftやGoogle、Anthropicとの競争が激化しており、成長加速のハードルは高い。

サム・アルトマンCEOは2年前、ハーバード大学での講演で、ChatGPTに広告を組み込む案に否定的な考えを示していた。広告が回答に影響すると受け止められれば、主力製品であるChatGPTへの信頼が損なわれかねないためだ。広告は、OpenAIが最後に選ぶ収益化手段の一つだとも語っていた。

だがOpenAIは最近、ChatGPTで広告表示を始めた。巨額のAI投資に見合う売上を確保する必要性が、従来の姿勢を修正させた格好だ。

OpenAIはAI開発に必要な計算資源へ数百億ドル規模を投じてきたが、売上の急拡大にもかかわらず、赤字の拡大には歯止めがかかっていない。

米New York Timesによると、OpenAIの昨年の売上高は130億ドル(約1兆9500億円)に達した。一方、今後4年間で追加的に約1000億ドル(約15兆円)を支出する見通しだという。

こうした状況で広告導入に踏み切ったことは、OpenAI内部で売上拡大の優先順位が極めて高いことを示している。

OpenAIはここ数年、大型の資金調達を続けてきた。大手ベンチャーキャピタル(VC)やビッグテック企業が相次いで支援に動いたためだ。

ただ、AI投資の過熱に対する警戒感が強まるなか、この流れが今後も続くかは不透明だ。計算資源の整備に必要な巨額資金を拠出できる投資家は限られる。

新規株式公開(IPO)も選択肢になり得るが、New York Timesは、OpenAI経営陣ですら非公式にはIPOに向けて赤字縮小が必要だと認めていると報じた。

OpenAIは今年、売上高を前年比で3倍にする目標を掲げる。ただ、達成は容易ではない。広告事業と企業向け市場の双方で成果を上げられるかが焦点になる。

昨年末時点の売上構成は、個人向けが60%、法人向けが40%だった。個人向け売上の大半は、ChatGPTの有料サブスクリプションが占める。

ChatGPTの利用者は8億人に達するが、有料版の利用比率は6%程度とみられている。広告導入は、無料版ユーザーから追加収益を得るための施策といえる。

もっとも、広告はChatGPTの価値を損ない、最悪の場合はユーザー離れを招く可能性がある。New York Timesはその点をリスクとして指摘した。

同紙はオンライン広告業界の専門家の見方として、「ChatGPTのようなAIチャットボットは、最終的に年間数十億ドル規模の広告売上を生み出す可能性がある。ただ、その実現には数年単位の試行が必要になるかもしれない。その間、OpenAIはGoogleのように広告に強い企業との競争にさらされる」と伝えた。

企業向け市場の拡大も簡単ではない。

競争環境は厳しい。MicrosoftとGoogleは企業向けソフトウェア販売で豊富な実績を持つ。コーディングAIを含め企業向け分野に注力するAnthropicも、OpenAIにとって有力な競合として存在感を高めている。

OpenAIは現在、企業向け市場で、コーディングAI「Codex」、一般業務を支援する「ChatGPT Enterprise」、さらに企業のアプリ開発に使われるAPIの提供を通じて収益を上げている。

投資銀行UBSのアナリスト、カール・キアーステッド氏は「OpenAIは企業向けソフトウェア市場への展開を一段と積極化せざるを得ない」としたうえで、「一般企業は事務系ソフトウェアにそれほど高い対価を支払いたがらない可能性がある」と述べた。

さらに同氏は「企業向け市場では競争が激化しており、とりわけAnthropicが主要競合として台頭している。OpenAIが個人向けと法人向けの双方で収益化に苦戦する一方、Anthropicは主としてビジネスツールの開発に集中している」と指摘した。

OpenAIは最近、自社のAIツールを通じた科学的成果に手数料を課す方針も示し、議論を呼んでいる。会社側はその後、この措置は大手製薬会社のみに影響すると説明したが、New York Timesは、OpenAIのツールを利用する多くの独立研究者が懸念を強めていると報じた。

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