仮想現実(VR)と拡張現実(AR)はかつて、企業が描く「次の働き方」を支える技術として注目を集めた。しかし、ソフトウェアの不安定さや装着時の負担、高コストといった課題が普及の壁となり、企業の期待はしぼみつつある。AIの台頭で、関心はARグラスへ移り始めた。
画面とマウスに縛られず、手を自由に使いながら業務を進められる技術として、VRとARには大きな期待がかかっていた。だが、時間の経過とともに、その期待が先行していたことが鮮明になった。
米ITメディアのTechRadarが14日(現地時間)に報じたところによると、MicrosoftのHoloLensは市場から姿を消し、Google Glassも市場から撤退した。MetaのQuest Proも存在感を急速に失っている。
Facebookが2014年にOculusを買収した際、マーク・ザッカーバーグ氏は新たな世界の創出を掲げた。だが10年が過ぎた現在、Metaの取り組みは、スマートフォンOSの寡占構造から脱する主導権確保の試みにとどまったとの見方が出ている。
企業はVRの限界を比較的早い段階で見抜いた。現実を透視するような機能は実現せず、ソフトウェアは不安定だった。長時間の利用にも向かず、VR酔いの問題もあった。加えて、コスト負担も重かった。
VRヘッドセットは開発・製造コストが高く、消費者にとっても購入のハードルが高い。象徴的な例がApple Vision Proだ。この価格帯はゲーム市場にも影響した。Questの販売規模はスマートフォンに比べて小さく、開発者が十分な収益を確保しにくい構造だったという。販売台数では、MicrosoftのXbox Series X/SがQuestを上回ったとされる。
Metaは補助金の投入でQuestの拡販を進めたが、その結果は市場全体の拡大というより、競合を市場から押し出す効果にとどまったとの見方もある。
かつてVRは技術革新の象徴とみなされたが、足元では人工知能(AI)がその存在感を上回りつつある。企業各社がAIを組み込んだARグラスの研究を進めるなか、VRの先行きは一段と不透明になっている。