Google DeepMindのゲーム制作AIモデル「Project Genie 3(以下、Genie 3)」の公開を受け、韓国の主要ゲーム会社が相次いでAI戦略を打ち出した。NCsoft、Krafton、Kakao Gamesはいずれも、AIが短期的に高品質ゲームを代替する可能性は限定的とみる一方、開発効率の向上や新規事業の拡大につなげる方針を示している。
3社は2025年第4四半期の決算説明会で、アナリストからのAI関連の質問に回答した。Genie 3の発表後、世界のゲーム関連株が下落する中、各社はAIの影響に関する見解と自社の対応方針を明らかにした形だ。
◆NCsoft「市場は過剰反応、AAA級タイトルの全面AI制作は困難」
NCsoftのパク・ビョンム共同代表は、「Project Genie 3の公開後、Take-TwoやUnity、NCsoftの株価が大きく下落した」とした上で、「検討の結果、市場は過剰に反応しているとの結論に至った」と述べた。
その理由として挙げたのが、AAA級タイトルをAIだけで全面的に制作する難しさだ。精緻なシステム設計が必要なうえ、ユーザーの間にはAIが生成したアートやキャラクターへの抵抗感もあるという。パク氏は「AIが生産性向上に寄与する可能性はあるが、『GTA6』のようなゲームをすぐに作れるわけではない」と強調した。
NCsoftは2026年から、AIによる生産性向上をテーマにしたタスクフォースを全社横断で運営する。ゲーム開発にとどまらず、自社AIとオープンソースAIを組み合わせ、業務全般の効率化を進める計画だ。
モバイルカジュアル事業については、「AIでコンテンツ生成を進めやすい領域」と位置付けた。一方で、同社はゲームを継続的に供給するだけでなく、エコシステムを支える技術基盤の構築を志向しているため、「多くのゲームが市場に出ることはむしろ追い風になる」と説明した。
◆Krafton「破壊的技術と認識、既存事業を守りつつ新機会探る」
3社の中で最も具体的な方針を示したのはKraftonだ。キム・チャンハン代表は決算発表で、AIを「Kraftonの将来のイノベーションと価値拡大を支える中核ドライバー」と位置付けた。
同社のAI戦略は「AI for Game」と「Game for AI」の2本柱で構成する。ゲーム内AI、制作効率化、QA自動化、不正対策などを通じてゲームサービスの品質を高める一方、ゲームで蓄積したデータやシミュレーション技術を現実世界向けへ展開し、中長期の事業機会を創出する構想だ。
キム氏は「ゲーム内のインタラクションデータは高品質な学習データになり得る。物理ベースの仮想世界を運営してきた経験は、学習環境やデータ生産インフラの構築で強みになる」と説明した。まずは社内活用で有効性を検証し、その後の外部展開につなげる考えだ。
Genie 3については、「AI技術が業務とビジネスに破壊的な変化をもたらしている点には共感する」としつつも、「大きなGPU容量を必要とし、持続時間も短い。短期間でゲームを完全に代替することは難しい」と評価した。
ペ・ドングンCFOは、AI活用によって単純なアートアセットは外注せずに社内で処理できるようになるとし、「長期的には外注費を従来より抑えられる」との見通しを示した。
◆Kakao Games「2〜3年で構造変化、開発と運営の両面で備える」
Kakao Gamesのハン・サンウ代表は、「AI技術の進展は今後2〜3年で産業に非常に大きな構造変化をもたらす」と述べ、対応を主要戦略課題の一つに挙げた。
開発面では、現在の各種ソリューションによって今後2〜3年で開発効率が大きく高まるとし、スタジオやジャンルごとに導入できるよう準備を進めているという。
運営面では、マーケティングや意思決定、データ分析などを含むプロセス全体の高度化と効率化を見込む。ハン氏は、開発と運営の双方で進化するAI技術を取り込み、産業構造の変化に対応できる組織面・技術面の備えが重要だと強調した。
同社は過去2年間、AIツールとソリューションを準備してきたとし、人員配置の効率化につながるソリューションを社内で構築したと明らかにした。チョ・ヒョクミンCFOは、「選別的に開発人材を補強しても、人件費の増加は2025年第4四半期比で5%前後に抑える計画だ」と説明した。
◆各社共通「脅威より実用段階、コスト削減と競争力強化に活用」
主要3社に共通するのは、AIが当面、高品質ゲームを代替するのは難しい一方、開発や運営の効率を高める実用的なツールとしては有効だとみている点だ。
3社はいずれも、制作とサービスの各プロセスにAIを組み込み、コスト削減と競争力強化を進める方針を示した。NCsoftとKraftonは全社レベルでAI活用を進め、Kakao Gamesは準備を進めてきた社内ソリューションの本格運用を視野に入れる。中長期では、ゲームで蓄積したAI関連の知見や技術を新規事業に広げる構想も浮上している。
業界関係者は、「生成AIが開発手法を変える可能性はあるが、大規模オンラインゲームや複雑なシステムを短期間で作るのは難しい」と指摘。そのうえで、「反復作業を減らし、効率を高める方向で活用するのが現実的だ」と述べた。