NaverとKakaoは2026年、生成AIを活用したエージェントAIの収益化を本格化する。Naverは検索から購買までをつなぐAI体験の強化を進め、KakaoはKakaoTalkを基盤とした生活密着型AIで差別化を図る構えだ。
◆Naver、検索から購買につなぐAIを前面に
Naverは、AIブリーフィングの提供効果を踏まえ、2026年をエージェントAI拡大の本格始動の年と位置付けた。2025年にAIブリーフィングを導入して以降、15文字以上のロングテール検索クエリは2倍に増え、追加質問のクリック数は6倍に伸びたという。
2026年末までに、AIブリーフィングの適用対象を現在の検索クエリ全体の20%から、その約2倍まで広げる。下半期にはショッピングとプレイス領域で広告収益化のテストも進める。
同社は、単なる情報提供から、実際の行動支援へとAI戦略の軸足を移す。2月末にショッピングエージェントを開始し、飲食店、旅行、金融などの縦型エージェントも順次投入する方針だ。
上半期に投入する対話型AI検索「AIタブ」と組み合わせ、購買や予約、注文といった行動まで一気通貫で支援する計画としている。
チェ・スヨンCEOは「Naver独自の利用者データと高度化した推論機能を基盤に、AIが先回りして検索の全過程を支援する新たな体験を提供する」と述べた。
AIインフラの効率化も進めた。GPUの統合運用と軽量モデルへの転換により、推論コストを30%以上削減したという。
2025年のプラットフォーム全体の広告売上高成長率8.8%のうち、AIの寄与は55%だった。成果報酬型広告の広告主数は前年の2倍超に増えた。
同社は、AI起点の成長をコマース拡大につなげることを中核目標に据える。配送サービス「N配送」のカバレッジは、2026年に25%、2027年に35%、3年以内に50%超へ引き上げる計画で、配送をボトルネックではなく選ばれる理由に変えていくとしている。
チェ・スヨンCEOは「パートナーシップ、インフラ、運営の全般であらゆる可能性を開き、配送競争力を抜本的に引き上げる」と強調した。メンバーシップのアクティブ利用者は前年比20%超の成長、SmartStoreの取引額は2桁成長を目標に掲げた。
広告事業では、外部メディアとの連携やオフサイト、ローカル広告市場への展開も進める。11月末からはMetaとのオフサイト連携テストを実施しているという。
◆Kakao、オンデバイスAIで広告収益性の回復狙う
Kakaoは子会社数を150社から94社に減らし、中核事業への集中を進めた結果、2025年の営業利益は前年比48%増の7320億ウォン(約750億円)となった。2026年はAIとKakaoTalkの融合に注力する。
差別化の柱はオンデバイスAIだ。第1四半期中に正式提供する「Kanana in KakaoTalk」は、クローズドベータテスト(CBT)で招待利用者の80%超がモデルをダウンロードし、そのうち70%が継続利用した。
中核機能は、AIが先に話しかける「先トーク」だ。全インタラクションの60%超がAIからの呼びかけで始まったという。
チョン・シナCEOは「利用者の会話文脈を基に先に話しかけるAIは、Kakaoならではの強力な差別化要因だ」と述べた。
CBTでは、スケジュールのリマインドやブリーフィングに加え、コマースが主要な利用シナリオとして確認された。Kakaoはコマース領域で明確な事業機会を確認したとして、上半期中に購入や予約につながる利用シーンの構築を積極化する。
AIサービスはKakaoTalkの滞在時間の拡大にもつながった。ChatGPT for KakaoとKanana in KakaoTalkの利用者の1日当たり平均滞在時間は、利用前後の2カ月で約4分増えたという。
ChatGPT for Kakaoの利用者数は、ローンチ後に200万人から800万人へ増加した。Kakaoは、2026年に掲げる「KakaoTalk利用者の滞在時間20%拡大」の目標は達成可能とみている。
グローバル連携も本格化する。GoogleとはAndroid開発チームとの直接協業に加え、TPUクラウド運用やAIグラス分野での協業を始めた。
OpenAIとは、KakaoTalkの会話文脈とChatGPTの連携強化を進める。チョンCEOは「デバイス体験ではGoogle、B2CサービスではOpenAIと協力し、重複しない領域でパートナーシップを構築する」と説明した。
また、「Play MCP」と「Agent Builder」を通じて外部パートナーをつなぎ、上半期中に少なくとも3社以上の主要コマース事業者の参画を見込む。
滞在時間の拡大とエージェントコマースの構築を、広告収益性の回復につなげることが中核目標だ。5四半期連続で前年同期比マイナスだったトークのディスプレイ広告は、直近の第4四半期に18%増へと反転した。
フィード型広告の導入で広告主のROASが改善し、中小規模のコマース広告主の流入も広がったという。
下半期からはコマース広告枠を開放型の販売方式に切り替え、自動入札も導入する。AIベースの「Moment AI」で広告効率を高める方針だ。
ビジネスメッセージはブランドメッセージの拡大により2桁成長、トークビズ広告も通期で2桁成長の維持を目指す。2026年は連結売上高10%以上の成長と営業利益率10%の達成を目標に掲げた。
チェ・スヨンCEOは「2026年もショッピングエージェントやAIタブを通じて新たな価値と収益化機会を創出しつつ、コンテンツ、AIインフラ、N配送を軸に戦略投資を継続し、売上成長の加速に集中する」と述べた。
チョンCEOは「グループの力を中核事業に集中してきた構造改革の成果が、財務指標にも明確に表れた。業績改善で成果を証明すると同時に、Kakaoの中長期成長への期待を実質的な結果で示していく」と語った。