写真=Vision in Automationのアジア営業責任者で、電子工学責任者を兼務するマーティン・ホフマン氏

ドイツのクリーンルーム物流自動化企業、Vision in Automation GmbHが、韓国の半導体ファブ市場の開拓を進めている。大手メーカーが標準品中心で対応しにくい個別仕様の領域を狙い、FOUPの階層間搬送や長期保管、レティクル自動化といったソリューションを提案する。完全無人化が進むファブで、高額なEUVマスクなどの保管・搬送需要を取り込む考えだ。

半導体ファブの大規模化と無人化が進むなか、EUV(極端紫外線)マスクをはじめとする高額資産の自動保管・搬送が新たな課題になっている。一方で、大手装置メーカーは標準化製品の供給が中心で、ファブごとの個別環境に合わせたカスタム対応は手薄だという。

Vision in Automationのアジア営業責任者で、電子工学責任者を兼務するマーティン・ホフマン氏は、Semicon Korea 2026の開催に合わせて訪韓し、韓国市場の事業機会について説明した。ホフマン氏は「韓国企業が完全無人化ファブの構築を目指す中で、カスタム仕様のクリーンルーム物流システムへの需要は見込める」と述べた。

同社は2013年、ドイツ・ドレスデンで設立された。ホフマン氏は「大手の搬送装置メーカーは標準品を大量生産するため、顧客ごとの特殊要件に対応した設計が難しい。そこに商機があると考えて創業した」と話す。

主力製品の1つが、ファブ内でFOUPを階層間搬送するリフトシステムだ。コンベヤーやOHT(天井搬送システム)をフロア間でつなぐ垂直搬送ソリューションで、手動ポートの配置を柔軟に設計し、物流動線を最適化できるとしている。

製品ラインアップは、0.1~2メートルの段差に対応するレベルシフターのほか、エアベアリング方式のショートリフト(最大5メートル)、フレックスリフト(最大30メートル)をそろえる。

顧客ニーズを踏まえて開発したのが、長期保管システム「Long Term Storage」だ。FOUPやカセット、レティクルボックス、プローブカードなどを自動保管するターンキー型のソリューションとして展開している。

モジュール設計を採用しており、顧客のファブの空間や天井高に合わせて柔軟に構成できる。最大長は50メートル、高さは6メートルまで拡張可能としている。

ISO-5のクリーンルーム等級に対応し、SEMI E88 MES、GEM SECS規格との互換性も備えるため、工場自動化システムへの統合が可能だという。複数のストレージシステムを接続し、ファブ全体を単一の大規模保管設備のように一元運用する「ダイ・バンク(Die Bank)」の構築事例もあるとしている。

レティクル自動化も重点分野の1つだ。EUVマスクなどの高額資産管理を見据え、同社はレティクルの分類・保管を自動化する装置を開発。ULVACのレティクルクリーナー向けに導入した実績があるという。

従来はレティクルを手作業でクリーナーに投入する必要があったが、Vision in Automationのレティクル分類装置と連携させることで、自動化を実現したとしている。

品質管理面では、自社クリーンルーム内で装置の製作から長期テストまでを終えたうえで出荷する。ホフマン氏は「すべての装置をモジュール化しており、顧客先ではプラグ・アンド・プレイで容易に組み立てられる。設置時のリスクを最小限に抑えられる」と説明した。

FOUPポッドの保管システムも手掛ける。ホフマン氏は「顧客はもはやFOUPポッドを手作業で管理したいとは考えていない。一方で、大手装置メーカーは市場規模が小さいとして、こうしたニッチ製品の開発には乗り出していない」と指摘する。

この保管システムもモジュール設計を採用し、顧客要件に応じてロードポートを側面、前面、背面に柔軟に配置できるようにしたという。

現時点で韓国企業との協業実績はない。ただ、今回の訪韓で複数企業と接触し、受注につながる手応えを得たとしている。ホフマン氏は「特にツールローダーとレティクルの保管・分類分野で関心を示した企業があった。安定運用に向け、現地パートナーとの協力も計画している」と述べた。

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