写真=11日にソウル市西大門区で開かれた「第3回Binanceブロックチェーンサミット」で講演するチノ・タケシBinance Japan代表

Binanceは、2026年のデジタル資産市場について、機関投資家の参入が本格化し、デジタル資産が投資対象にとどまらず決済手段としても存在感を高めるとの見通しを示した。

チノ・タケシBinance Japan代表は11日、ソウル市西大門区で開催された「第3回Binanceブロックチェーンサミット」に登壇し、2026年の主要トレンドとして、機関投資家の流入、ステーブルコインの拡大、AIとの融合を挙げた。

同氏によると、2025年の世界のデジタル資産市場は明確な成長を示した。時価総額は一時3兆1300億ドルに達し、その後の調整局面を経ても足元では2兆3000億ドル前後を維持しているという。

市場構造では、ビットコインが全体の50%超を占め、引き続き中心的な地位を保った。一方で、大きな変化として同氏が挙げたのがステーブルコインの成長だ。

ステーブルコインは、米ドルなど法定通貨の価値に連動する暗号資産で、銀行送金や両替の手間を減らし、取引の効率化につながると説明した。

チノ代表は「現在のステーブルコイン市場の90%は米ドル建てだ」としたうえで、「今後、各国で自国通貨建てステーブルコインの活用が進めば、従来の金融市場でドル、ユーロ、円が流通してきた構図が、ブロックチェーン上でも再現される可能性がある」との見方を示した。

また、日本政府が円建てステーブルコインを後押ししている背景にも触れた。狙いは単なる通貨競争ではなく、Web3エコシステムを育成するうえで必要なインフラ整備にあると指摘。政府はイノベーションを後押ししつつ、管理可能な規制の枠組みの中で安定成長を促していると述べた。

企業が資産ポートフォリオの一部としてデジタル資産を保有する動きも広がっている。こうした流れは「デジタル資産トレジャリー(DAT)」と呼ばれ、関連する上場企業は2020年の4社から、2025年10月時点では142社まで増えたという。

これらの企業が保有するデジタル資産は1373億ドル規模に達する。債券や株式に加え、ビットコインを新たな分散投資手段として組み入れる企業が増えているという。

こうした市場環境の変化を踏まえ、Binanceは「ローカライズ」と「大衆化」を軸に事業を展開している。

日本法人のBinance Japanは、2023年8月の正式始動以降、65トークンを取り扱い、日本国内で最多の銘柄数を確保した。2026年末までに100銘柄へ拡大する計画で、日本では審査に数カ月を要する厳格な上場プロセスがあるものの、継続的にラインアップを増やし、投資家の選択肢を広げる方針だという。

決済分野では、日本最大のQRコード決済事業者であるPayPayとの連携強化を進める。現時点では、Binanceアプリ上でPayPay残高を確認し、デジタル資産を購入できる段階にある。今後はPayPayアプリ内にBinanceの機能を組み込む計画で、利用者が複雑な送金手続きを経ることなく、日常的に使う決済アプリを通じてデジタル資産に触れられる環境を整える考えだ。

日本の規制環境の変化についても注目点として挙げた。日本は2014年のマウントゴックス事件以降、資金決済法を通じて暗号資産を厳格に規制してきたが、当初の「決済手段」という位置付けから、足元では金融商品としての性格を認める方向へ制度が変化しつつあると説明した。

最大の関心事として示したのは税制改正だ。現在、日本では暗号資産による所得が雑所得に分類され、最大55%の税率が適用される。一方で、今後、金融商品取引法の適用対象となれば、株式と同様に20%の申告分離課税へ移行する可能性が高いとし、税負担の軽減が投資家流入を後押しするとの見方を示した。

ステーブルコイン発行を巡る制度整備にも言及した。日本では銀行に加え、資金移動業者や信託銀行など、多様な主体による発行が認められている。銀行は発行の自由度が高い一方で参入障壁も高く、資金移動業者は送金上限などの制約があるものの参入しやすいと説明。発行主体ごとに異なる規制を適用することで、イノベーションとリスク管理の両立を図っていると評価した。

チノ代表は、韓国を含む他国が参考にできる日本の規制対応の要諦として、「規制当局との信頼関係」を挙げた。法令順守にとどまらず、当局が実際に懸念している点や期待している点を正確に把握する必要があるとしたうえで、「規制当局との継続的なコミュニケーションと信頼構築こそが、ビジネスの核心だ」と語った。

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