ビットコイン(BTC)の創設者とされるサトシ・ナカモトを名乗る人物はこれまでもたびたび現れてきた。ただ、文書や証言だけで本人性を裏付けることは難しく、決定的な証拠が示された例はない。Cointelegraphは10日(現地時間)、本人性の立証の可否は最終的に暗号学的な証明に行き着くと報じた。
ビットコインは、特定の個人や組織を信頼しなくても機能するP2P通貨システムとして設計されている。このため、サトシ本人であることを示すうえで決定打となるのは、初期のビットコインアドレスに対応する秘密鍵を実際に保有しているかどうかだという。
中核となるのは、初期アドレスの秘密鍵でメッセージに署名し、その結果を誰でも検証できる形で公開する方法だ。解釈の余地が残る他の手法に比べて明確性が高い一方、これまでこの方法で本人性を示したケースは確認されていない。
サトシ候補としてはこれまで複数の人物の名前が取り沙汰されてきたが、自ら公にサトシだと主張した例は多くない。代表的なケースとしてはクレイグ・スティーブン・ライトが繰り返しサトシ本人だと主張してきたが、英国高等法院は判決でこれを否定し、同氏の主張は大きく後退した。
2014年にNewsweekがサトシ本人ではないかと報じたドリアン・S・ナカモトは、直ちに関与を否定した。初期のビットコイン開発者として知られるハル・フィニーも生前、同様の憶測を否定している。ニック・サボも一貫してサトシではないとの立場を示してきた。
現実的な立証方法として有力視されるのは、2009年の初期ブロックに関連するとされる秘密鍵を使い、公開メッセージに署名することだ。さらに強い証拠としては、これまで動きのなかった「サトシ時代」のウォレットから実際にBTCを移動させるオンチェーン取引が挙げられる。
オンチェーンで一度でも資金移動が確認されれば、大半の疑念は払拭される可能性が高い。
ただし、こうした行動には大きなリスクも伴う。世界的な注目を集めることに加え、身の安全、税務・法務・規制対応の問題、大量売却への警戒感による市場の混乱など、影響は小さくないとみられる。
「最も確実な証明」が、同時に「最も大きな波紋を呼ぶ行動」になり得るため、仮に本人であっても沈黙を選ぶほうが合理的だとの見方もある。
結局のところ、世界を納得させるには、「サトシ時代」の鍵と直接結び付いた証拠を、誰でも検証できる形で公に示す必要がある。限られた相手に資料を見せるだけ、あるいは後年生成された鍵による署名を提示するだけでは、その基準を満たしにくいとの指摘だ。