半固体電池は次世代電池技術として注目を集めている。写真=Shutterstock

中国の国有自動車大手、第一汽車集団(FAW)は10日、リチウム富化マンガン系の半固体電池を電気自動車(EV)に初採用したと発表した。容量は142kWhで、CLTC基準の航続距離は1000kmを超えるとしている。

この電池は、FAWの電池子会社と南開大学の研究チームが共同開発した。米EV専門メディアElectricによると、セルのエネルギー密度は500Wh/kgを超え、一般的な商用リチウムイオン電池の250〜300Wh/kgを大きく上回るという。

FAWは今回の採用を業界初としている。計画通りに量産・搭載が進めば、長距離走行EV市場の競争に影響を与える可能性がある。

全固体電池は、液体電解質の代わりに固体電解質を用いることで安全性の向上が期待され、理論上はリチウムイオン電池の最大2倍のエネルギー密度を実現できるとされる。一方で、固体電解質のイオン伝導度や界面抵抗、生産工程の安定化などに課題が残る。

このため足元では、全固体電池への移行を見据えた現実的な選択肢として、液体と固体を組み合わせる半固体電池への関心が高まっている。

中国では、上海汽車集団(SAIC)が量産型半固体EVとして「MG4」を投入した。東風汽車も、1000km以上の走行を想定した固体電池プロトタイプの極限環境試験を進めている。

中国メーカー各社は、マンガン系に加えて、高ニッケルのNCM(ニッケル・コバルト・マンガン)やNCA(ニッケル・コバルト・アルミニウム)系電池の高度化も並行して進めている。コスト競争力や資源確保も含め、複線的な技術戦略で優位性の確立を狙う。

完成車メーカーや電池メーカーでも、全固体電池の開発競争が激しくなっている。トヨタ、BYD、CATL、Volkswagen、Mercedes-Benz、BMWは、いずれも硫化物系の全固体電池開発を進めている。

トヨタは2027〜2028年の商用化を目標に掲げる。BYDも2027年から全固体電池の生産開始を計画しているが、当初は高級車向けを中心とした小規模生産となる見通しだ。

実証段階に入った企業もある。Mercedes-Benzは、全固体電池を搭載した改造型EQSで1205kmの走行に成功したと公表した。米Factorial EnergyはHyundai MotorやStellantisと連携し、商用化を進めている。

業界では、2027〜2028年にパイロット生産を経て、2030年前後に本格量産へ移行するシナリオが有力視されている。

市場調査会社SNE Researchによると、2025年の世界のEV向け電池使用量の55%超をCATLとBYDが占める見通しだ。中国勢は技術開発と生産能力の両面で存在感を強めている。

自動車・電池各社は、エネルギー密度や充電速度、航続距離の向上を見込んで全固体電池の商用化を急いでいる。量産上の課題を克服し、誰が先に本格商用化へこぎ着けるのかに市場の関心が集まっている。

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