Bithumbで利用者へのビットコイン誤配布事故が発生した。画像=Reve AI

Bithumbで発生した前例のないビットコインの誤配布を受け、デジタル資産業界で取引処理の仕組みに対する不信が広がっている。とりわけ、実際の資産移動を伴わず社内台帳上の記録で処理する「ブックトレーディング」への懸念が強まっており、主要事業者は相次いで自社の統制体制の説明に乗り出した。

ブックトレーディングは、実物資産をその都度移動させるのではなく、まずシステム上の台帳に数量を反映して取引を処理する方式を指す。取引の迅速化に有効とされる一方、一部では「保有していないコインを生み出して取引させたのではないか」との批判も出ている。

もっとも、業界や専門家の間では、問題は方式そのものではなく、その後の検証と統制にあるとの見方が大勢だ。銀行が預金を現金のまま全額保管するのではなくシステム上で管理し、証券会社も約定のたびに現物株を即時移転させるわけではないのと、基本的な考え方は同じだという。

焦点となるのは、台帳上の記録と実際の資産残高をどのように突き合わせるかだ。伝統的な金融機関では、取引後に現金や資産の照合を行い、台帳と実物資産の一致を厳格に確認する。だが今回のBithumbの事案では、保有量を上回る数量が入力されたにもかかわらず、システムがこれを遮断できなかった。

こうした事態を受け、デジタル資産業界では、Bithumbの個別事案が業界全体の信認低下につながるのを防ぐため、管理体制の違いを前面に打ち出す動きが強まっている。各社は、イベント専用口座やリアルタイム照合システムを整備しており、Bithumbとは統制の仕組みが異なると説明している。

Upbitは、2017年から運用してきた「準備資産証明システム(Diff Monitoring)」を中核的な防御策として挙げた。関係者は、ブロックチェーン上のウォレットにある実際の資産と内部台帳上の数量を24時間体制で照合しており、わずかな差異でも発生すれば直ちに警報が作動し、入出金を停止すると説明した。

イベント実施時の運用についても、事前に確保した数量だけを「イベント専用口座」に移し、その口座内でのみ支給する仕組みを採用しているという。新たな数値を任意に生成して付与する方式自体が成立しない設計だと強調した。

Coinoneも、「Zero-Defectモニタリング」システムによって差別化を図っている。関係者は、オンチェーンのウォレットとサービスDBをリアルタイムで照合し、不整合が確認されれば取引を直ちに停止すると説明した。加えて、マーケティング、サービス運営、財務会計の各部門が独立して確認する「6段階クロスチェック」プロセスを通じて、人的ミスの発生を抑えているとした。

証券業界では今回の事案を、2018年に起きたSamsung Securitiesの「幽霊株」問題になぞらえる見方も出ている。当時は社員持株の配当処理で、1株当たり「1000ウォン」と入力すべきところを「1000株」と誤って入力し、存在しない株式28億株が市場に流通した。

証券業界関係者は、Samsung Securitiesの事故が社内の従業員口座への誤入力だったのに対し、今回のBithumbの事案は不特定多数の利用者に支給された点で影響がはるかに大きいと指摘する。海外の利用者がコインを出金していれば、訴訟を通じた回収は事実上困難で、国際紛争に発展する可能性もあるとの見方を示した。

金融当局と政界の対応も急ピッチで進んでいる。国会の政務委員会は11日午前10時、Bithumbを巡る緊急質疑を開く予定だ。同日には、Bithumb創業者で前Bithumb Holdings議長のイ・ジョンフン氏に加え、金融委員会、金融監督院の関係者、イ・ジェウォンBithumb代表らにも出席を求めるとされる。ただ、出席要請に強制力はなく、実際の出席は不透明だ。

あわせて、「仮想資産法第2段階」として議論されている仮想資産事業規制法案の審議も加速する可能性がある。なかでも業界で敏感な論点の一つとされる大株主の持分制限について、議論がさらに進むとの見方が出ている。

一方、デジタル資産業界は慎重な姿勢を崩していない。業界関係者は、金融当局による内部統制全般の点検に協力する考えを示したうえで、今回の事案を踏まえ、2023年6月から施行されている「標準内部統制基準」を改めて精査し、システム強化を進めると述べた。

別の関係者は、今回の事故は法制度の欠陥ではなく、個別事業者の運用・統制上の問題によって起きたものだと指摘。そのうえで、政界や当局がこれを機に過度な「二重規制」を導入しないか懸念していると語った。

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