写真=Kakao Pay

Kakao Payは2025年、営業利益と当期純利益の両面で通期黒字を確保した。これを受け、2026年は証券のリテール・IB強化を軸に、AI連携、決済の海外展開、デジタル資産分野の取り組みを本格化する方針だ。

同社の2025年業績は、営業利益が504億ウォン(約55億円)、当期純利益が557億ウォン(約61億円)となり、初の通期黒字を達成した。事業全体が堅調に伸びるなか、金融サービス売上高は前年比59%増加し、全売上高の40%を占めた。なかでもKakao Pay Securitiesの株式取引代金は159%増と大きく伸び、四半期ベースで過去最高を更新した。

同社は今回の黒字化を契機に、売上拡大が収益改善につながる事業構造をさらに強化していく考えだ。

◆証券事業はリテールとIBを両輪に

Kakao Pay Securitiesの寄与拡大を受け、証券事業ではリテールとIBを両輪とする成長戦略を打ち出した。ハン・スヌク運営総括リーダーは、新規口座開設の拡大、アクティブ顧客化の促進、顧客の声を反映したサービス高度化の3点を柱に、利用者のエンゲージメントを高める方針を示した。

コミュニティ機能の差別化やAIを活用した投資情報の提供を通じて顧客導線を磨き込み、一度きりの取引にとどまる利用者を継続利用へつなげる。アプリ内の滞在時間や取引頻度の引き上げも狙う。

また、国内株市場の回復も追い風とみる。海外株式サービスで確立した成功モデルを国内株式サービスや信用供与事業に展開し、年金、ISA、ファンドなど株式以外の商品とのクロスセルを強化することで、顧客の総合的な投資ポートフォリオ構築を支援するとした。

IB部門では、不動産仲介中心の収益構造からの脱却を進め、収益源の多様化を図る。トークン証券(STO)の制度整備に合わせ、KDXコンソーシアム(韓国取引所・Koscom)に参加し、収益証券型商品の組成にも関与する方針だ。Kakao Payは同コンソーシアムで主要株主の1社に位置付けられている。ハン氏は、利用者に訴求力のある商品の設計に貢献できるとの見方を示した。

こうした指標改善を踏まえ、同社はクロスセルと利用者起点のサービス改編を通じて、2025年比で50%超の売上成長と営業利益の上積みを目標に掲げた。

◆AI戦略も本格化

AI戦略は、Kakaoグループ全体の「AI転換」と歩調を合わせて進める。パク・ジョンホサービス総括リーダーは、KakaoTalk内のAIサービス「カナナ in KakaoTalk」初期バージョンで、Kakao Payが金融・消費領域の中核パートナーとして参画すると明らかにした。

まずは自社アプリで検証済みの「AIで自分向けの特典探し」機能を連携し、今後は健康データを活用した金融・ヘルスケア連携サービスも追加する予定だ。

短期的には、サービス接点の拡大とトラフィック流入の増加を重視する。決済取引額(TPV)の本格的な拡大は、Kakaoのエージェンティック・コマースが本格化する局面で顕在化するとみている。

このためKakao Payは、単なる決済手段の提供にとどまらず、AIが推薦した商品がそのまま購買・決済につながる「エージェンティック・ペイメント」の体験設計をKakaoと共同で進めている。

◆決済を成長の柱に、ステーブルコインは中長期で検討

決済事業も成長の柱に据える。ペク・スンジュン事業総括リーダーは、2026年の決済売上高成長率について1桁台後半を見込むと説明した。オンライン決済では、Kakao CommerceやKakao Mobilityなど主要プラットフォームとのシナジーを強化する。第1四半期からKakao Mobilityの一部サービスにペイマネーを導入し、高頻度の決済需要を取り込んだうえで、今後はタクシー領域へ段階的に広げる計画だ。

海外決済については、グローバルビッグテックとの提携を基盤に、オンライン・オフラインの両分野で2桁成長の継続を目指す。AndroidベースのNFC決済に続き、上半期中にiOS向けNFC決済も導入し、欧州や北米を含む海外での利用可能エリアを大きく広げる。

第1四半期に投入予定の統合旅行プラットフォーム「ボヤジャー」は、旅行前の準備から現地決済まで一連のプロセスをKakao Payのエコシステムにつなぐ中核サービスと位置付ける。

デジタル資産とステーブルコインは、中長期戦略の柱の一つとする。シン・ウォングン代表は、ステーブルコインを新たな投資商品ではなく、既存の決済・送金・精算インフラを効率化する技術的な手段として捉えていると説明した。

グループ横断の協議体運営と、国内外の外部パートナーとの協業を並行して進め、越境送金や精算の効率化、反復的・条件付き支払いなど、実需ベースのユースケースを検討している。利用者体験を変えずに内部基盤を高度化することで、差別化につながる機会を探る考えだ。

Kakao Payの関係者は、既存事業の垂直展開とデータ・トラフィック基盤の強化を継続するとともに、ステーブルコイン、ブロックチェーン、STOなど次世代事業にも着実に備えると説明した。そのうえで、Kakaoグループ内でAI基盤サービスの多面的なシナジー創出機会を積極的に発掘していくとした。

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