世界的なメモリー需給の逼迫が、ゲーミングPC市場に影響を及ぼしている。メモリー価格の上昇を受けてハードウェア全体の価格が押し上げられ、一部のSteamマシンや次世代ゲーミング機器では投入時期の遅れも出ている。業界内では、影響は今後さらに広がる可能性があるとの見方も出ている。
こうした中、携帯型ゲーミングPCを手がけるAYANEOは、次世代モデル「Next II」の詳細仕様と価格を公表した。最上位モデルは128GBメモリーと2TBストレージを搭載し、価格は4299ドル。NVIDIAのフラッグシップGPU「RTX 5090」の推奨価格1999ドルを大きく上回る水準となった。
Indiegogoでのアーリーバード価格も3499ドルに設定されている。
米Ars TechnicaやTechRadarなどの海外メディアによると、Next IIは携帯機というより、ゲーミングノートPCに近い仕様を備える。上位モデルにはAMDの「Ryzen AI Max+ 395」プロセッサと、RDNA 3.5ベースの「Radeon 8060S」GPU(40CU)を搭載した。
性能面では、デスクトップ向けのRTX 4060級に近い水準とされる。高性能ノートPCのASUS「ROG Flow Z13」に近い構成との評価もある。
ディスプレイは9.06型OLEDを採用し、解像度は2400×1504。最大165Hzのリフレッシュレートと、最大輝度1155ニトに対応する。
バッテリー容量は116Whで、航空機内への持ち込み制限の目安とされる100Whを上回る。冷却機構には2基のターボ遠心ファンとデュアルベイパーチャンバーを採用し、高性能SoCの発熱対策を重視した。
焦点となるのは価格設定だ。ベースモデルも「Ryzen AI Max 385」と32GBメモリーの構成で1999ドル。64GBメモリー搭載モデルは2699ドルとなる。
業界では、メモリーの供給不足と価格高騰が、こうした価格設定の主因とみられている。AYANEOが64GBや128GBといった大容量メモリー構成を用意したことが、価格上昇に拍車をかけたとの見方もある。携帯型ゲーミング機器では、32GBメモリーでも十分な性能を確保できるという指摘もある。
本体サイズと重量も、携帯性を前面に打ち出せる水準とは言いにくい。Next IIの重量は3.14ポンド(約1.42kg)で、「Lenovo Legion Go」の2倍超。サイズは横13.45インチ、縦10.3インチで、Nintendo Switch 2(Joy-Con込み)より約60%大きい。
Next IIは、高性能ゲームを重視するハードコアゲーマーやプロシューマー向けの製品と位置付けられる。一方で、携帯性やコストパフォーマンスを重視する層にはハードルが高いとの見方が強い。現在はIndiegogoで予約を受け付けており、今夏から米国を皮切りに順次出荷する予定という。
メモリー不足の影響はデスクトップ市場にも及んでいる。RTX 5090は供給難を背景に、一部のリセラーで5000ドルで取引されているという。この価格であれば、高性能なデスクトップゲーミングPCを1台購入できるとの指摘もある。
業界の一部では、メモリー不足が長期化した場合、2026年に8GBメモリーを搭載した新型携帯機器が登場する可能性も指摘されている。