KTは2月10日、2025年通期の連結業績(K-IFRS)を発表した。売上高は28兆2442億ウォン(約3兆1068億円)と前年比6.9%増、営業利益は2兆4691億ウォン(約2716億円)と同205%増だった。江北本部の開発に伴う不動産分譲益が大きく寄与した。
単体ベースでは、売上高が19兆3240億ウォン(約2兆1256億円)で前年比4.0%増、営業利益は1兆3050億ウォン(約1436億円)で同276.6%増となった。一方、2025年10〜12月期は、セキュリティ侵害事故への対応に伴うUSIM購入費などの一時費用が収益性の重荷となった。
◆B2C・B2Bが堅調、AX関連の商材も拡充
無線事業は、中低価格帯プランの拡充と契約者基盤の拡大を背景に、サービス売上高が前年比3.3%増加した。2025年末時点の5G加入者比率は、ハンドセット契約者全体の81.8%だった。
固定回線事業の売上高は、超高速インターネットとメディア事業の伸長を受けて前年比0.8%増となった。法人向けサービス売上高は、低採算事業の合理化が影響したものの、CT事業の安定成長とAI・IT需要の拡大に支えられ、同1.3%増だった。
KTは、自社開発の「ミッウムK」、Microsoftとの提携に基づく韓国向けAI言語モデル「SOTA K」、セキュリティ特化型クラウドサービス「SPC(Secure Public Cloud)」を投入し、AX市場での競争力を高めた。Palantirとの協業を通じ、金融業界を中心とするデータ・AI事業の機会拡大も進めている。
◆クラウド、データセンター、不動産が成長をけん引
KT Cloudは、データセンター事業とAI・クラウド事業の拡大を背景に、売上高が前年比27.4%増加した。公共分野を中心にAI・クラウド案件の受注を伸ばしており、2025年11月には国内初となる液冷システムを採用した加山AIデータセンターを開所した。
KT Estateは、複合開発や賃貸事業の拡大に加え、ホテル部門の業績改善、大田研修院の開発事業の進展を受け、売上高、営業利益ともに前年を上回った。江北本部敷地の複合開発事業の完了も業績を押し上げた。
コンテンツ子会社は、広告市場の鈍化と一部子会社の売却が影響したものの、KT Studio Genie、KT nasmedia、KT Millie’s Libraryが下支えし、売上高は前年並みを維持した。KT Studio Genieは「新兵3」「善良な女性ブセミ」などの主要作品を投入し、KT Millie’s Libraryは加入者増を追い風に売上高を伸ばした。
K bankは2025年に新規顧客279万人を獲得し、顧客数は1553万人となった。2025年12月末時点の預金残高は28兆4000億ウォン(約3兆1240億円)で前年並み、貸出残高は18兆4000億ウォン(約2020億円)で前年比13.0%増だった。2026年1月には上場予備審査を通過し、上場準備を進めている。
◆情報セキュリティを全面強化、5年間で約1兆ウォン投資
KTは、少額決済の不正利用事故を受けて、全社の情報セキュリティ体制を全面的に見直した。CEO直轄の情報セキュリティ革新タスクフォース(TF)を軸に、組織とガバナンスの再整備を進めている。
CISO体制を強化し、分散していたセキュリティ機能を統合・高度化する。今後5年間で約1兆ウォン(約1100億円)を投じ、ゼロトラストセキュリティの拡大や統合セキュリティ管制の高度化を段階的に進める計画だ。
外部専門家の知見や国際的なセキュリティ基準を反映し、定期点検と常時モニタリングを併用して死角の最小化を図る。全社レベルの予防・対応体制についても継続的に強化する。
◆年間配当は1株2400ウォン、2500億ウォンの自己株取得・消却も
KTは2025年決算に伴う株主還元として、10〜12月期配当を1株当たり600ウォン(約66円)の現金配当にすると決めた。セキュリティ侵害事故の影響はあったものの、2025年1〜9月期と同水準を維持した。
年間配当は1株当たり2400ウォン(約264円)で、前年比20%増となる。2025年12月30日時点の年間配当利回りは4.6%。配当基準日は2月25日で、配当金は3月の定時株主総会での承認後に支払う予定だ。
企業価値向上計画の一環として、2025〜2028年に総額1兆ウォン(約1100億円)規模の自己株取得・消却を進める方針も示した。2026年も8月までに2500億ウォン(約275億円)規模の自己株取得・消却を実施する。
外国人持ち株比率が法定上限の49%に達しているため、即時消却には制約がある。ただ、今回の2500億ウォン分は消却を前提に取得するという。
2025年の配当総額と自己株取得額を合わせた株主還元総額は8310億ウォン(約914億円)で、株主還元性向は78%水準となった。
KTは、2025年基準で高配当企業の要件を満たしたことから、2026年1月1日以降に支払われる配当金には配当所得の分離課税が適用されると説明した。これにより、投資家の税引き後配当収益の改善が見込まれるとしている。
KTのチャン・ミンCFOは「2025年のセキュリティ侵害事故により、顧客、株主、投資家に心配をかけたことをおわびする」とコメント。そのうえで「安定した事業基盤をもとに、株主還元政策とバリューアップ計画を着実に履行した」と述べた。
さらに「通信の中核事業とAXの成長ドライバーを基盤に、2026年も成長と企業価値向上を続ける」と強調した。