LG U+は2月10日、AIエージェントとデジタルツインを商用ネットワークに導入し、自律運用ネットワークの展開を本格化すると発表した。障害対応やトラフィック管理、5G無線品質の最適化、局舎管理など、ネットワーク運用全般の自動化を進める。
同日、ソウル市江西区のLGサイエンスパークで開いた記者懇談会で、同社はネットワーク運用の全行程をAI基盤の自律運用型へ段階的に切り替える方針を示した。あわせて、AI自律走行ロボットを活用した局舎内の環境情報収集など、デジタルツインの具体的な適用策も紹介した。
◆AIエージェントで障害対応と品質管理を高度化
LG U+は、自律運用ネットワークを支える基盤として「AION(Artificial Intelligence Orchestration Nexus)」を活用する。反復業務の自動化とAIベースの運用体制を支えるプラットフォームと位置付ける。
同社によると、AIONの導入後、モバイル利用者からの品質関連の問い合わせ件数は70%、ホーム利用者では56%それぞれ減少した。
ネットワーク運用に特化したAIエージェントも独自に開発した。障害対応業務に適用し、24時間のリアルタイム監視を担わせる。従来は担当者がアラームを確認して対応していたが、AIエージェントは軽微な異常の兆候まで検知し、遠隔処理や現場出動の要請まで自動で実行する。これにより、障害対応時間の短縮につなげる。
サービス品質の監視にもAIエージェントを活用する。利用時に発生する異常信号を捉え、人では見落としやすい品質問題を特定。その後、問題区間を迅速に分析し、ネットワーク設定の変更まで自動で行う。
トラフィックが急変する場面では、基地局の過負荷を防ぐ役割も担う。LG U+は、導入後は初級エンジニアでも自然言語で指示を入力するだけで、「トラフィック予測→パラメータ調整→リアルタイム監視→基地局制御」まで一連の処理を自動化できるようになったと説明した。
◆AI自律走行ロボット「U-BOT」で局舎データを収集
LG U+は、自律運用ネットワークの構築に向けてデジタルツインの活用も進める。デジタルツインで得た分析結果を実際の運用に反映し、無線品質をより精緻に管理する狙いだ。
現在はAI自律走行ロボットを局舎に試験配備し、自動化技術の実証を進めている。LG AI ResearchのAI「EXAONE」を活用したAI自律走行ロボット「U-BOT」は、局舎内の設備状態や温度、周辺環境の情報を収集し、デジタルツインモデルに反映する。
同社によると、運用担当者はU-BOTを通じて、現地を直接訪れなくても設備の位置や状態を一目で把握できるという。クォン・ジュンヒョクLG U+ネットワーク部門長(副社長)は「大半が無人局舎のため、これまでは担当者が出動して異常の有無を確認する必要があった」としたうえで、「無人局舎の状況を遠隔で最も迅速に把握する手段として、デジタルツインを構築した」と述べた。
5Gの無線品質管理にもデジタルツインを活用する。AIエージェントが無線信号の状態やトラフィックの変化をリアルタイムで検知・分析し、それに基づいて電波の到達範囲や方向を自動で調整する。
LG U+は、「特定地域にトラフィックが集中したり、一時的な品質低下が発生したりしても、必要な措置を速やかに反映し、安定した通話品質とデータ速度を維持する」としている。
同社は昨年、業界団体のTM Forumが実施したネットワーク自動化成熟度評価で、国内通信事業者として初めて「アクセス障害管理」分野で最高水準の4.0に迫る3.8を獲得した。パク・ソンウLG U+ NWソリューション担当常務は「安全性を踏まえながら、段階的にレベルを高めていく」と述べた。
LG U+は来月、スペイン・バルセロナで開催される通信展示会「MWC 26」で、AIとデジタルツインを活用したネットワーク自律運用技術を公開する。グローバル通信事業者に技術を紹介し、協業や海外展開の可能性を探る。
クォン副社長は「自律運用ネットワークへの進化によって、顧客体験の基準を従来の『品質』から『信頼』へ広げられると期待している」と述べた。そのうえで「顧客にとって重要な中核ネットワーク技術を継続的に高度化し、より安全で持続可能な社会づくりに貢献したい」と語った。