ビットコイン(BTC)が急落し、6万ドルを割り込んだ。過去1カ月の下落率は40%を超え、一部取引所では5万9930ドルまで下落。市場では、香港ヘッジファンドのレバレッジ清算、ビットコイン現物ETF連動の構造化商品に伴うヘッジ売り、採掘企業の事業転換が重なったことが背景とみられている。
Cointelegraphが7日(現地時間)に伝えたところによると、ビットコインは先週金曜日に年初来安値を更新した。2025年10月に付けた最高値12万6200ドルからは、下落率が50%を超える。
市場関係者の間では、香港の一部ヘッジファンドによる高リスクのレバレッジ取引と、米銀が関与するビットコイン現物ETF連動の構造化商品が下落を増幅したとの見方が出ている。価格が6万ドルを割り込めば、採掘企業の損益分岐点に近づき、追加の売り圧力につながりかねないとの警戒も広がっている。
第1の要因として挙がるのが、アジア発のレバレッジ清算だ。香港の一部ヘッジファンドは、ビットコイン高を見込み、BlackRockが運用するビットコイン現物ETF「IBIT」に連動するオプションに大きく資金を投じていた。
その際には、低金利の円を調達して他通貨に換え、暗号資産などのリスク資産に振り向ける戦略も用いられたという。だが、上昇基調が崩れたうえ、円調達コストも上昇。レバレッジポジションが急速に悪化し、貸し手からの追加証拠金請求に伴う強制売却が下落に拍車をかけたとみられている。
デリバティブ市場の構造的な売り圧力も無視できない。BitMEXの元CEOであるアーサー・ヘイズ氏は、Morgan Stanleyなど一部のグローバル銀行が、ビットコイン現物ETF連動の構造化商品のエクスポージャーをヘッジするため、ビットコインや関連資産を売却した可能性を指摘した。
こうした商品は、ビットコイン価格の変動に賭ける仕組みを持ち、一定の価格帯に達するとデルタヘッジに伴う売りが自動的に出やすい。結果として、価格下落局面で売りが売りを呼ぶ構図が生まれ、相場の下振れを増幅したという。
採掘企業の動きも相場の重荷となった。人工知能(AI)データセンター需要が拡大するなか、一部の採掘企業が採掘事業を縮小し、AIデータセンター事業への転換を進めたことで、ハッシュレートが10~40%低下したとの分析が示された。
実際、Riot Platformsは2025年12月、データセンター戦略への転換にあわせて約1億6100万ドル相当のビットコインを売却した。IRENもその後、AIデータセンターへの転換計画を明らかにしている。
採掘企業の収益性を示す指標にも警戒感がにじむ。Hash Ribbonsによると、30日平均ハッシュレートは60日平均を下回っており、採掘企業の採算悪化が進んでいることを示唆する。
ビットコイン1枚当たりの平均電力コストは約5万8160ドル、純生産コストは約7万2700ドルと推計される。6万ドル割れの状態が長引けば、採掘企業の財務負担はさらに重くなる可能性がある。
オンチェーンデータからも投資家心理の悪化がうかがえる。10~1万BTCを保有する中・大口ウォレットの供給比率は直近9カ月で最低水準に低下し、長期保有者にも売りが広がっている兆候と受け止められている。
市場では、今回の下落は単一の悪材料によるものではなく、レバレッジ清算、デリバティブ市場の構造、採掘業界の変化が同時に作用した結果との見方が強い。相場の変動性は当面、高い状態が続く可能性がある。