米HBOの金融ドラマ「Industry」シーズン4が、テック業界の不正や権力闘争を生々しく描いた作品として注目を集めている。TechCrunchが7日(現地時間)、報じた。
シーズン4では、主人公のハーパー・スターンが新たに立ち上げた投資会社を率い、架空のフィンテック企業「Tender」を巡る不正を追う。ハーパーは、Tenderの財務データが改ざんされているとの情報をつかみ、事実確認のためチームをガーナに派遣する。
調査の結果、Tenderは売上高を水増しし、実体のないユーザー数を示していたことが明らかになる。作品では、同社が見せかけの成長で成り立つ企業として描かれる。
Tenderは当初、成人向けコンテンツ向けの決済プラットフォームとして始まったが、英国のオンライン安全法による規制強化で行き詰まる。その後、CFOのホイットニーは銀行業への転換を図るが、これが新たな混乱を招く。政治家へのロビー活動や合併機会の模索など、勝利を最優先するテック業界の行動様式も作中で色濃く描かれる。
ハーパーは以前の勤務先で、多様性枠として扱われる立場に置かれ、最終的に会社を去った過去を持つ。現在は業界内で一定の評価を得ているが、TenderのCEOヘンリーと結婚した友人ヤスミンとの対立が深まり、人間関係の緊張も物語の軸になっている。
作品は、テック業界の腐敗や権力闘争を鋭く描くと同時に、ホイットニーという人物を通じてテクノロジー至上主義への批判も織り込む。ハーパーが投資家の前で「衰退していく企業を見つけることこそ、自分の本当の情熱だ」と語る場面は、計算高さと危うさを印象づける。
TechCrunchは、Tenderを巡る一連の展開が、ドイツのフィンテック企業Wirecardの没落を想起させると指摘した。企業が成功を過剰に演出し、投資家を欺く構図は現実のテック業界でも繰り返し見られており、「Industry」シーズン4はそうした実像を強く意識させる作品になっている。