暗号資産市場では、相場を動かす「ナラティブ」が常に注目される。こうした中、Bitwiseの最高投資責任者(CIO)、マット・ホーガン氏はX(旧Twitter)への投稿で、次の相場局面を左右し得る9つの主要テーマを示した。
ホーガン氏は、市場では「新たなナラティブはもう出尽くした」との見方もある一方で、実際には複数の潮流が同時進行しているとの認識を示している。
第1に挙げたのは「収益(Revenue)」だ。ブロックチェーンが生み出す年間収益は足元で約70億〜80億ドル規模に達しているとし、普及が進めば数千億ドル規模まで拡大する可能性があると指摘した。実際に収益を生むプロジェクトが、次の相場を主導するとの見方だ。
第2は「AiFi」。このナラティブでは、AIエージェントは銀行口座ではなく、暗号資産やステーブルコイン、DeFiを使って取引すると想定する。AIが生み出す取引量は、既存の金融システムの想定を上回る可能性があるとしている。
第3は「法定通貨不安」だ。レイ・ダリオ氏の見方に触れつつ、法定通貨への信認が揺らげば、資金は希少性の高い通貨へ向かうとの考え方を紹介した。ビットコインはその受け皿の一つになり得るという。
第4は「機関投資家による採用」。暗号資産への機関投資家の参入は短期的な現象ではなく、2年程度のイベントではなく10年単位で進む長期トレンドだと位置付けた。
第5は「規制整備」。暗号資産に追い風となる規制整備の効果は、まだ十分には織り込まれていないとみる。米国のジニアス法も施行は2027年1月で、その後に明確な規制枠組みが整えば、投資と大衆化が同時に進む可能性があるとした。
第6は「ステーブルコインのスーパーサイクル」だ。現在のステーブルコイン市場は約3000億ドル規模にとどまるが、長期的には数兆ドル規模へ成長し、21世紀のグローバル決済インフラの中核になり得るとの見通しを示した。
第7は「トークン化」。トークン化された資産は現時点で約200億ドルにとどまる。一方で、世界の株式市場は120兆ドル、債券市場は140兆ドル、不動産市場は300兆ドル規模に達しており、トークン化資産の比率は全体の0.1%にも満たない。BlackRockなどがトークン化の可能性を強調する背景にあるとの見方を示した。
第8は「DeFi再興」。DeFiはなお初期段階にあり、資産のトークン化が進み、規制環境が明確になれば、市場規模が現在の100倍に膨らむ可能性もあるとした。
第9は「イーサリアムの転機」だ。ビタリク・ブテリン氏が再びイーサリアムの前面に立ったことについて、1996年にスティーブ・ジョブズ氏がAppleへ復帰した局面になぞらえる見方があると紹介した。
ホーガン氏は、「すべてのナラティブが現実になるわけではなく、ボラティリティやリスクも伴う」としたうえで、「ただ、短期的な調整を超えてみれば、今後数年は暗号資産業界にとって重要な時期になり得る」と述べた。