CJ CheilJedangやSamyang、Daehan Flour Millsなど主要な製粉・製糖各社が、小麦粉と砂糖の価格を相次いで引き下げている。ただ、その効果がパンや菓子など加工食品の値下げにまで及ぶかは不透明だ。食品業界では、原材料価格が下がっても、人件費や包装資材費の上昇が重荷になっているとの見方が強い。
CJ CheilJedangは5日、家庭用の砂糖と小麦粉の全製品を値下げすると決めた。これに先立ち1月上旬には、業務用の砂糖と小麦粉もそれぞれ平均6%、4%引き下げている。
Samyangも同日、家庭用と業務用の砂糖、小麦粉をそれぞれ平均4〜6%値下げした。Sajo DongA Oneは家庭用の小容量製品を平均5.9%引き下げる方針を示した。Daehan Flour Millsは1日から、主力の「Gompyo」ブランドを含む小麦粉製品の一部を平均4.6%値下げした。
各社は、国際的な原糖・小麦相場の下落を反映したことに加え、政府の物価安定策に歩調を合わせた対応だと説明している。一方、最近進んでいる価格カルテル疑惑の捜査が影響したとの見方も出ている。
検察は2日、Daehan Flour Mills、Sajo DongA One、Samyang、Daesun Flour Mills、Samhwa Flour Mills、Hantopの製粉6社の代表取締役ら20人を、価格カルテルの疑いで起訴した。CJ CheilJedangとSamyangの関係者も同じ疑いで起訴された。
もっとも、原材料価格の下落がそのまま消費者向け商品の値下げにつながるとの見方は業界では少ない。製品価格の決まり方が複雑で、ベーカリーや製菓のように使用原料が多岐にわたり、人件費比率も高い分野では、小麦粉や砂糖の値下げが店頭価格に反映されにくいためだ。
ベーカリーチェーンの加盟店では、小麦粉や砂糖、卵、食用油などの原材料に加え、人件費も運営コストを大きく左右する。販売価格の見直しは加盟店の収益性に直結するため、値下げ判断は容易ではないという。
実際、最終製品が値下げされた例がないわけではない。CJ Foodvilleが運営するベーカリーフランチャイズ「Tous Les Jours」は2023年7月、穀物価格の下落基調に合わせ、あんパンやクリームパンなど15品目を平均5.2%値下げした。
ただ今回は、物価上昇や人件費の負担が続いており、同様の流れが再現されにくいとの見方が多い。フランチャイズ業界の関係者は、パン価格に占める小麦粉の比率は価格を左右する要素として決定的ではないとし、製粉各社の値下げ発表を受けても価格政策の変更には踏み切りにくいとの見通しを示した。
一方で、政府が物価安定基調を重視していることから、政策判断次第では価格見直しを検討する余地があるとの声もある。
製菓業界も事情は近い。原料調達の契約時期が企業ごとに異なるため、仮に最終製品の値下げが進むとしても、その時期はばらつく可能性が高い。原料調達契約は短ければ3カ月、長ければ1年に及ぶ場合もあり、業務用原料の値下げ効果は各社の契約タイミングに左右される。
製造現場では、小麦粉や砂糖に加え、バター、マーガリン、ショートニングなどの油脂類、さらにカカオやナッツ類など多様な原料を使う。特定原料だけが値下がりしても、製品価格の調整には踏み切りにくい。為替や物流費も価格決定の重要な要因で、製菓業界ではカカオの不作による価格上昇など、ほかの原料高にも頭を悩ませている。
製菓業界の関係者は「一部原料の価格変動だけで価格を見直すのは難しい」としたうえで、「過度な値上げを避け、安定した価格設定を続けるため、工場の効率化など内部のコスト削減に力を入れている」と話した。