韓国メモリ大手のSamsung ElectronicsとSK hynixが、過去最高業績を背景に成果給制度の見直しを進めている。SK hynixは超過利益分配金(PS)の支給率を2964%に確定し、年俸を上回る水準の成果給を支給する。Samsung Electronicsも、年俸の50%を上限としてきた超過利益成果給(OPI)について、上限を超える追加補償の検討に入った。
背景にあるのは、半導体事業の好調だ。SK hynixの2025年業績は売上高97兆1467億ウォン、営業利益47兆2063億ウォンと、ともに過去最高を更新した。Samsung Electronicsも、2025年10~12月期に売上高93兆8400億ウォン、営業利益20兆700億ウォンと四半期ベースで過去最高を記録。通期では売上高333兆6100億ウォン、営業利益43兆6000億ウォンだった。両社とも、高帯域幅メモリ(HBM)の販売拡大とサーバ向けメモリ需要の増加が業績を押し上げた。
SK hynixは、営業利益の10%を原資にPSを年1回支給する制度を採用している。労使合意により、従来の支給上限だった1000%は撤廃し、この基準を今後10年間維持する方針だ。2025年実績ベースでは、年俸1億ウォンの社員の場合、PSは約1億4820万ウォンとなる計算だ。支給額の80%は当年に支給し、残る20%は2年間に分けて繰り延べ支給する。
業界では、PS算定に用いる営業利益ベースの原資は約4兆5000億ウォン規模になるとみている。半期ごとの生産性奨励金(PI)を上期・下期それぞれ最大150%で合算すれば、2025年実績ベースの成果給総額は3264%に達する計算だ。
Samsung Electronicsも報酬制度の見直しを進めている。現行のOPIは、経済的付加価値(EVA)の20%を原資とし、年俸の50%を上限に支給する仕組みだ。先月の労使賃金交渉で会社側は、この枠組みを維持しつつ、原資の範囲内で上限を超える成果にどう追加補償するかを検討する方針を示した。
あわせて、成果給の0~50%を10%刻みで自社株として受け取れる制度も全社員向けに導入した。1年間の保有条件を選んだ場合は、株式報酬額の15%を追加で支給する。
成果給の拡大を巡っては、社内で配分をどう決めるかも論点になっている。Samsung Electronicsの会社側は、DS部門内でもメモリ事業部とファウンドリー事業部でOPI支給率に差を設ける可能性に初めて言及した。今年は両事業部とも47%で同一水準となっている。
一方で、半導体を担うDS部門と、モバイル、テレビ、家電、ネットワークなどを担当するDX部門の業績格差は大きい。2025年10~12月期の営業利益は、DS部門が16兆4000億ウォンだったのに対し、DX部門は1兆3000億ウォンにとどまった。
こうした報酬制度の見直しの背景には、半導体人材の確保競争がある。SK hynixは、AI半導体競争の激化で、設備投資に加えて中核人材の確保と維持が競争力を左右する要素になっているとみている。ファウンドリー最大手のTSMCも、営業利益の約10%を成果給の原資に充てている。
Samsung Electronicsでも、SK hynixとの報酬格差が制度見直しを促している。Samsung Electronics支部の労働組合は1月30日時点の組合員数が6万3579人となり、全従業員の過半数を超えた。業界では、SK hynixがPS上限を撤廃したことが、DS部門社員の大規模な組合加入を後押ししたとの見方が出ている。
業界関係者は「次世代メモリ市場は技術難度が高く、熟練エンジニアの確保が企業競争力に直結する」としたうえで、「企業としても人材流出を防ぐため、従来の算定方式を超える報酬策を検討せざるを得ない」と話している。