Bitcoin(BTC)の現在の価格は、実態に比べて割安ではないか――。暗号資産投資会社Keyrockの最高経営責任者(CEO)で共同創業者のケビン・ド・パトゥル氏は、市場がマクロ経済環境の変化やデジタル資産を巡る構造転換を十分に織り込めていないとの見方を示した。
4日付のCoinDeskによると、Bitcoinは足元で持ち直し、約7万3000ドル近辺で推移している。ただ、年初来では約18%下落している。
2024年10月に付けた約12万5000ドルと比べると、依然として大幅な調整局面にある。
ド・パトゥル氏は、2025年初から2026年にかけて規制整備が進み、機関投資家の参入も広がったにもかかわらず、Bitcoin価格は期待されたほど上昇しなかったと指摘した。マクロの不確実性が高まれば需要が増えてもおかしくない局面だったが、実際にはリスク資産に近い値動きが続いたという。
その背景として、機関マネーの流入が続いても、相場が不安定化すると機関投資家が先に持ち高を圧縮しやすい点を挙げた。同氏は「Bitcoinはいまだにリスク資産と見なされており、市場にストレスがかかる局面ではポジションが削られやすい」と語った。
直近6カ月の暗号資産市場は全体として軟調だった。Bitcoinは過去最高値から大きく下落し、アルトコイン市場も明確な上昇基調を形成できなかった。売買高とボラティリティも低下しており、過去のサイクルで見られた広範な投機的上昇とは異なる様相を示している。
もっとも、ド・パトゥル氏はこれを単なる停滞とは見ていない。市場は構造転換の過程にあるとし、Keyrockは銀行、資産運用会社、発行体、取引所と連携しながら流動性を供給する立場として、その変化を現場で見ていると説明した。
とりわけ、伝統金融のデジタル化は速いペースで進んでいるという。トークン化されたマネー・マーケット・ファンド(MMF)、ステーブルコイン、オンチェーンファンド、新たな市場インフラの登場を受け、機関投資家の関心は引き続き高いとした。
同氏は、機関投資家の狙いは短期的な値上がり益ではなく、暗号資産を顧客に提供する手段を広げることに加え、金融システムそのものを再構築することにあると強調した。
具体例として、ステーブルコイン発行企業CircleのIPO推進や、資産運用会社Apollo Global ManagementとDeFiプロトコルMorphoの協業を挙げた。一方で、トークン化資産の活用はなお限定的で、大規模な流動性が形成されるまでには時間がかかるとの見方も示した。
そのうえで、2027~2028年には伝統的な資本市場のオンチェーン化が本格化し、デジタル金融の規模が現在の暗号資産市場を上回る可能性があると予測した。伝統的な金融資産がブロックチェーン基盤の市場へ移行すれば、暗号資産市場も過去最高値を更新する新たな局面に入る可能性があるとしている。
今後の暗号資産市場で重要になるのは、短期的な価格上昇ではなく、金融インフラの構造変化だ。ド・パトゥル氏は「暗号資産市場は成長を続けているが、今後は価格主導の投機ブームよりも、金融システムのアップグレードがより大きな意味を持つ」と強調した。