Xは4日、決済サービス「X Money」の一般向けベータ版を開始した。これまで社内従業員に限定していたテスト対象を一部ユーザーに広げ、決済や送金を含む金融分野でのサービス拡充を進める。
米TechCrunchによると、Xは一部ユーザーにベータ版の招待を送付した。招待枠は一般配布ではなく、俳優ウィリアム・シャトナー氏と連携したオンラインオークション形式で提供する。落札代金は、子どもと退役軍人を支援するシャトナー氏の慈善団体に寄付されるという。イーロン・マスク氏もこの取り組みに言及し、関連投稿を共有した。
X Moneyは、マスク氏が掲げる「Everything App構想」の中核機能の一つと位置付けられる。決済や送金に加え、クリエイター向けサブスクリプションなども含む総合金融プラットフォームを目指している。
ベータ参加者には、ユーザー名入りの金属製カードを提供する予定だ。Visaとの提携により個人間送金に対応し、アプリ画面には「口座」「報酬」「アクティビティ」の各タブのほか、「入金」「送金」「リクエスト」などの金融関連ボタンが並ぶ。
金融サービスとしての信頼性確保に向けた体制整備も進める。利用者から預かった資金は、米連邦預金保険公社(FDIC)加盟のCross River Bankで管理し、1人当たり最大25万ドルまで保護対象になるとしている。
また、給与などの直接入金を設定した利用者向けに、年利最大6.00%のAPYを提供するオプションも用意した。Xは米国内で40州超の資金移動ライセンスを取得しており、全米展開に向けた法的基盤の整備も進めている。
こうした取り組みは、将来のグローバル展開を視野に入れたものでもある。マスク氏は2月の社内会議で、限定的な外部ベータの実施後にサービスを世界に広げる計画を明らかにしていた。
業界では、Xが別アプリとしてテストを進める「X Chat」と同様に、X MoneyもPayPalやVenmoと競合する独立アプリとして投入される可能性があるとの見方が出ている。1999年に立ち上げたX.comの構想を、現在のXで具体化する動きとして注目されそうだ。
今回のX Money投入により、Xはメッセージング中心のプラットフォームから、決済や商取引を組み込んだサービス基盤への拡張を本格化させる。2022年のTwitter買収後に社名をXへ改めたマスク氏の構想が、具体的なサービスとして姿を見せ始めた。