SK Innovationは3月5日、韓国水力原子力と出資する小型モジュール炉(SMR)開発企業TerraPowerが、米原子力規制委員会(NRC)から商用先進炉の建設許可を取得したと発表した。米国で新設の商用原発が許可されるのは10年ぶりで、SMRを含む先進炉としては初の事例となる。
TerraPowerは、米ワイオミング州で世界初の商用SMRプラント建設に着手する。2030年の実証炉稼働を目標に開発を進めており、今回の許可取得を受けて商用化に向けた取り組みを本格化させる。
同社は2008年にビル・ゲイツ氏が設立した。開発中の炉は液体ナトリウム冷却技術を採用しており、同社によると、既存の原発に比べて発電効率と安全性の向上が見込めるという。沸点が880度の液体ナトリウム冷却材は、より多くの熱を吸収できるため出力向上に寄与し、使用済み核燃料の発生量も従来の約1割に抑えられるとしている。
SK Corp.とSK Innovationは2022年8月、共同でTerraPowerに2億5000万ドル(約375億円)を投資し、第2位株主となった。以後、TerraPowerのSMR技術の商用化とグローバル展開に向けて協力を進めてきた。
SK Innovation、韓国水力原子力、TerraPowerは2023年3月、次世代SMRの開発と事業化に向けた業務提携に関する覚書(MOU)を締結した。TerraPowerが開発するナトリウム冷却高速炉(SFR)を基盤とする第4世代SMRについて、実証炉や商用炉の開発で連携しているという。
SK Innovationは、自社のエネルギー・素材分野における競争力と、韓国水力原子力の原発建設・運営ノウハウを組み合わせ、国内外のデータセンターを含む幅広い産業向けにSMRの事業基盤構築を目指す。チェ・テウォンSKグループ会長は先月、米ワシントンD.C.で開かれた崔鐘賢学術院主催の「Transpacific Dialogue 2026」の歓迎あいさつで、「SKは人工知能データセンターと発電所を一体で建設する新たなソリューションを準備している」と述べた。
クリス・ルベックTerraPower CEOは「今日は米国の原子力産業にとって歴史的な日だ。TerraPowerは今月中に商用SMRプラントの建設を開始する予定だ」とコメントした。
キム・ムファンSK Innovationエネルギーソリューション事業団長は「米国で初めて第4世代SMRの建設が認められたことは、グローバルエネルギー産業にとって大きな転換点になる」としたうえで、「韓国水力原子力とともに、TerraPowerとの戦略的協力を基盤に、世界初の商用SMRプラント建設とグローバルSMRサプライチェーンの拡大を進める」と述べた。