環境・社会団体がまとめたEVサプライチェーン評価報告書「Lead the Charge」によると、自動車メーカー各社の脱炭素化と人権対応は3年連続で改善した。一方で企業間の差は広がっており、Teslaが49%で首位となる一方、ToyotaやHondaなど日系メーカーは下位にとどまった。
EVメディアのElectricが3日(現地時間)に報じた。報告書では、世界の主要自動車メーカー18社を対象に、EVサプライチェーンの脱炭素化と責任ある調達の取り組みを評価した。目標の表明は広がっているものの、実行面ではなお課題が大きいと指摘している。
調査には、欧州のクリーン交通政策団体T&E(Transport & Environment)や米環境団体Sierra Clubなどが参加した。評価対象は、鉄鋼、アルミニウム、バッテリー、重要鉱物の調達に伴う炭素排出に加え、労働者の権利、先住民の保護、責任ある採掘慣行など計80項目に及ぶ。
2025年の平均スコアは、化石燃料からの脱却と環境面の持続可能性が24%、人権と責任ある調達が27%で、いずれも前年から小幅に上昇した。
企業別ではTeslaが49%でトップ。Fordが45%、Volvoが44%、Mercedes-Benzが41%、Volkswagenが39%で続いた。報告書は、これらの企業について、バッテリーサプライチェーンの改善や排出削減戦略で比較的具体的な実行計画を示した点を評価した。
一方、Toyota、Honda、BYDは下位グループにとどまった。とりわけ一部企業は、鉄鋼サプライチェーンの脱炭素化に関する項目で0%となり、実効性のある対応の不足が浮き彫りになった。
もっとも、中国勢ではGeelyとBYDの改善幅が大きく、順位を上げた。Toyotaを下回ったのはSAICとGACのみで、HondaとNissanも下位に位置した。
報告書はあわせて、全項目で業界の先行事例を取り入れた場合の仮想的な「ベストインクラス」スコアを86%と試算した。すでに業界内で実行されている模範事例を全面的に導入すれば到達可能な水準だとしている。
上位企業が一定の実現可能性を示している一方、業界全体の平均はなお20%台にとどまる。EVサプライチェーンの持続可能性を確保するには、一段の対応が求められる状況だ。
また報告書は、「EVは製造段階でより多くの炭素を排出する」とする一部の主張にも反論した。自動車のライフサイクル全体でみれば、炭素排出の大半は走行段階で生じ、製造段階の比重は相対的に小さいと説明している。
そのうえで、鉄鋼とアルミニウムはエンジン車とEVの双方で広く使われる基幹素材だと指摘。これら素材産業の脱炭素化が、自動車製造全体のカーボンフットプリント削減に重要な役割を果たすと強調した。欧州の持続可能なバッテリー政策や環境配慮型鉄鋼政策などの規制も、改善を後押しした要因として挙げている。