AIチャットボット市場で低価格プランの投入が相次ぎ、主要各社の価格競争が本格化している。あわせて、製造業やロボット分野でのフィジカルAI活用も広がっており、投資や提携、新製品投入の動きが目立ってきた。
低価格プランの拡充は、無料ユーザーを有料会員へ転換しやすくし、シェア維持と収益基盤の強化につなげる狙いがあるとみられる。
先行したのはOpenAIだ。昨年8月にインド市場で低価格の「ChatGPT Go」を投入し、今年初めにグローバル展開を始めた。ChatGPT Goは広告付きで、料金は月額8ドル。これに対しGoogleも28日、月額7.99ドルの「Google AI Plus」をグローバルで投入した。
一方、フィジカルAIを製造現場へ適用する動きも加速している。
SK hynixは、米国でAIソリューション会社「AI Company(仮称)」の設立を進めている。HBMなどで培ったAIメモリ技術を基盤に、メモリメーカーの枠を超え、AIデータセンターのエコシステムにおける中核パートナーを目指す考えだ。
Microsoftは、Phiシリーズの視覚言語モデルを基盤とするフィジカルAIロボティクスモデル「Rho-alpha」を公開した。物理システムの柔軟な適応を支援する狙いがある。
製造業向けAIを手がけるスタートアップや中小企業の動きも活発だ。AIベースのチップ設計スタートアップRicursive Intelligenceは、シリーズAで3億ドルを調達した。
ビジョンAI企業SiseonAIは、ロボット部門子会社UON Roboticsが、フィジカルAI市場を見据えた「Leader Arm」技術の開発と試作を完了したと明らかにした。今後はこれを基に商用化を進める。
産業AIスタートアップCVectorは、シードラウンドで500万ドルを調達した。AIベースの業務自動化を手がけるInnorulesは、PTC Koreaと製造業向け業務自動化で戦略的提携に関するMOUを締結した。
国内外のテック企業によるAI開発・活用の動きも今週相次いだ。
Samsung SDSは、OpenAIとの協業を軸に国内エンタープライズAI市場の開拓を加速する。OpenAIとリセラーパートナー契約を結んだ後、企業におけるAI導入戦略や実運用の知見を共有するセミナーも開いた。
ITCENグループ傘下でクラウドマネージドサービスを手がけるITCEN CLOITは、「AgentGo2026」を発表し、AIエージェントプラットフォーム市場に参入した。
OpenAIは、科学研究を支援するAIワークスペース「Prism」を公開した。ChatGPTへの広告導入を巡っては、初期広告主に対し高水準の単価を提示しているとの見方もある。MetaのSNS広告を大きく上回る水準だという。
Google DeepMindのCEOは、OpenAIによるChatGPTへの広告導入について、「広告は消費者向けインターネットの発展を支えてきた。適切に使えば有用になり得る一方、AIアシスタントでは信頼の問題を招く可能性がある」と述べた。
Googleも主力サービスへのAI組み込みを急いでいる。AI OverviewからAI Modeへ直接切り替え、対話型検索を利用しやすくする機能を披露した。
また、日本の生成AI市場を開拓する一環として、現地スタートアップSakana AIへの投資と戦略的パートナーシップの締結を公表した。2次元画像から3次元アセットを生成するAIモデルを開発するCommon Sense Machinesの買収も明らかにした。
Googleは、Geminiチャットボットに「Personal Intelligence」機能を導入してから1週間で、AIベースの検索機能であるAI Modeにも同機能を適用した。ChromeブラウザにはGemini関連機能を大幅に追加し、画像生成ツール「Nano Banana」、パーソナライズ機能「Personal Intelligence」、AIエージェント「Auto Browse」を組み込んだ。
Auto Browseは、ユーザーが一度の指示でWeb上のさまざまな作業を実行できるよう支援する機能だ。
Appleが、Geminiを活用したSiriを2月中旬に発表する予定だとする報道も出た。AppleはAirTag程度の大きさの円形AIウェアラブル「Pin」も開発しており、2027年の発売を目標に2000万台の生産を計画していると伝えられている。
Anthropicは、AI投資熱の高まりを追い風に、新たな資金調達ラウンドの目標額を従来の100億ドルから200億ドルへ引き上げた。調達が完了すれば、企業価値は3500億ドルに達する見通しだ。
Anthropicはあわせて、Claudeに外部アプリケーションを呼び出して利用できるインタラクティブアプリ機能を追加した。
Alibaba Groupは、最新の推論モデル「Qwen3-Max-Thinking」を公開した。事実知識の処理、複合推論、指示実行、人間の嗜好との整合、エージェント機能など複数の中核領域で性能が向上したとしている。
中国のAIスタートアップMoonshot AIも、新たなファウンデーションモデル「Kimi K2.5」を発表した。
AI研究者のヤン・ルカン氏はMetaを離れ、AMI Labsを設立して次世代AIシステムの開発に乗り出す。AMIは「world models」を構築し、現実世界を理解する知能システムの実現を目標に掲げた。
Adobeは、AIプラットフォーム「Firefly Foundry」の拡大に向け、人材マネジメントエージェンシー、ハイブリッド映画スタジオ、VFXスタジオ、著名な映画監督らとの新たなパートナーシップを発表した。
クラウドベースの協業ソフトを手がけるAirtableは、AIエージェント「Superagent」を公開した。Airtableとは独立して動作し、月額20ドルから200ドルまで複数の料金プランを用意する。
リーガルAIプラットフォーム「allibee」を運営するBHSNは、法務専門家の業務効率化を支援するオールインワンAIソリューション「allibee Agent for Legal」を発表した。
Duzon Bizonは、LotteグループのIT子会社Lotte Innovateと、AIベースERP分野での戦略的協力に向けたMOUを締結した。
AIが株式市場を支える主要テーマとして浮上する一方、ソフトウェア企業株は弱い値動きが続いている。AIがソフトウェア市場の構造そのものを変えかねないとの警戒感が、株価に反映されているとの見方が出ている。