写真=LPTechのパク・ヒョンスン代表

LPTechは、高価なセンサーに依存せず、ソフトウェアで把持の認識・制御を行う「ティーチングレスグリッパー」を開発した。多品種少量生産の現場で課題となる段取り替えの負担を抑えられる点を訴求しており、欧州ではPoCや輸出の実績も出始めている。

製造現場では、人件費の上昇や人手不足を背景に自動化投資が広がっている。中でも、製品をつかんで移載・搬送するグリッパーは、産業用ロボットの中核部品の一つだ。

ただ、現場では扱う製品のサイズや形状が一定ではなく、多品種少量生産では品目ごとの対応が求められる。従来のグリッパーは高価なセンサーで対象物を検知し、個別にプログラミングして制御する方式が一般的で、品目変更のたびに調整や設定作業が発生する。このため、導入コストや立ち上げ時間が膨らみやすく、とりわけ中小製造業では自動化のハードルになっていた。

こうした課題に対し、LPTechは独自の機構設計とソフトウェア技術を組み合わせたティーチングレスグリッパーを投入した。センサーを使わずに、多様なサイズや重量のワークを自動で把持できるという。

パク・ヒョンスン代表は「センサーではなくソフトウェア技術で認識と制御を実現したため、高価なセンサーが不要になる」と説明する。「導入コストを大きく抑えながら性能を維持できる点が強みで、国内外から引き合いが来ている」という。

ソフトウェアで把持制御、段取り替え負担を軽減

同社によると、ティーチングレスグリッパーは従来製品とは異なる構造を採用した。対象物のサイズをセンサーで検知し、その都度プログラムを組む方式ではなく、独自の機構設計とソフトウェアだけで把持を制御する。

パク代表は「人が物をつかむ際に指先の感覚で把持を判断するように、ロボットでも対象物をつかんだことを把握する仕組みが必要だ」と話す。「従来のグリッパーでは指先側のセンサーが非常に高価だったが、当社はソフトウェアによって、センサーなしでも幅広いサイズ・重量の製品に対応できるようにした」としている。

同社は、ハイエンド製品並みの性能を維持しながら、導入コストを大幅に抑えられるとみている。多品種少量生産の現場で発生していた、部品ごとのセンサー調整やプログラミングの負担軽減につながるという。

もう一つの主力製品である「振動抑制グリッパー」は、ロボットアーム停止時に生じる残留振動を抑えることで、精密作業に対応する製品だ。高速物流搬送や精密製造工程で発生する微細な振動を制御し、生産性向上や不良率低減を狙う。

ティーチングレスグリッパーの開発の背景には、パク代表の現場経験がある。技術営業を10年、研究開発部門の責任者を5年務め、顧客企業との接点の中で現場の課題を把握してきたという。

パク代表は「スマートファクトリー構築の現場では、ロボットハンドに関する課題が特に多かった」と振り返る。「スマートファクトリーには大きな資本が必要になるため、まずは最も難易度が高いロボットの指の領域から事業を始めた」と話している。

外部からの評価も進んでいる。LPTechは、自社開発したティーチングレスグリッパー技術で産業通商資源部長官賞を受賞した。中小ベンチャー企業部と創業振興院の支援を受け、漢陽大学が主管する「2025 創業中心大学」プログラムにも選定され、優秀企業として評価された。

欧州4カ国でPoC、フランス受注・ドイツ輸出も

海外市場での反応も強い。2025年11月には、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギーの欧州4カ国でPoCを実施した。フランスの現地企業からは約5000万ウォン(約550万円)規模のPoC向けサンプルを受注し、ドイツ市場では輸出と代金回収まで完了したという。

パク代表は「海外からの問い合わせが多く、6月から11月にかけては海外出張が続いている」と述べ、「欧州、南米、東南アジアまで幅広く動いている」と話した。欧州はロボット自動化の水準が高く、同社では今回の実績を、技術の海外適用可能性を示す事例と位置付けている。

同社が競争力として挙げるのが、「現場中心」の研究開発体制だ。研究開発チームが技術を開発する際、現場エンジニアのフィードバックをリアルタイムで反映するアジャイル体制を採用しているという。

開発初期から現場の意見を直接取り入れ、実際の使用環境で発生する課題を素早く改良につなげる。パク代表は「現場エンジニアの不便を直接聞きながら開発することで、本当に必要なものが見えてくる」とし、「小規模組織の強みを生かし、顧客ごとの特殊な環境に合わせたカスタマイズにも迅速に対応できる」と強調した。

主要顧客は、半導体装置メーカー、二次電池メーカー、物流会社などだという。

今後はグリッパー中心の事業から、より統合的なソリューションへと領域を広げる方針だ。最終的には、産業用ロボットの主要要素であるビジョン、ロボットアーム、グリッパーを組み合わせた統合ソリューションの提供を視野に入れる。

パク代表は「ロボットが製品をつかむには、見て、腕が動き、指で把持するという一連の流れが必要になる」と述べた。「ロボットアームはグローバル大手が市場を押さえているだけに、当社はグローバル製のロボットアームに自社のグリッパーとビジョンシステムを組み合わせ、統合ソリューションとして提供する構想を描いている」としている。

短期的には、欧州と東南アジア向けの輸出販路拡大と、国内の主要自動化市場でのシェア拡大を進める。長期的には、世界の製造現場へのロボット技術の普及を通じて、売上高1000億ウォン規模のグローバルロボット企業への成長を目指す考えだ。

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