KT光化門Westビル。写真=KT

KTで3月末の株主総会後にパク・ユンヨン氏が新たに代表に就く見通しとなる中、グループのメディア戦略に関心が集まっている。昨年の無断小額決済事故を受けて顧客信頼の立て直しが課題となるなか、メディア子会社のトップ人事が改選期を迎えており、事業ポートフォリオ見直しの可能性も取り沙汰されている。

業界によると、パク・ユンヨンKT次期代表候補は3月末の定時株主総会で承認を受け、正式就任する見通しだ。KTは新体制発足を前に組織改編案を検討しているとされるが、昨年12月の一般社員の人事以降、役員人事は公表していない。

なかでも注目されているのがメディア事業の方向性だ。KT SkyLife、KTミリの書斎、KTジニミュージック、KTナスメディアなど、複数のメディア子会社でトップの任期が3月の株主総会シーズンに満了する。

これらのうち上場子会社については、次期代表の選任がKTの意向だけで決まるわけではなく、KT本体と同様に株主総会を通じて新代表を選ぶ。一方、KT ENAやKT HCNなどの非上場子会社は、グループ全体の人事方針の影響を受けやすいとの見方が出ている。

KTのメディア子会社の多くでは、2026年の事業計画をなお固め切れていないという。新体制の方針が見通しにくいためだ。KTのメディア子会社関係者は「年初に準備していた事業推進は事実上止まっている。少なくとも第1四半期は積極的に動きにくい」と話した。

KTは昨年の無断小額決済事故を受け、顧客信頼の回復を急いでいる。2026年は通信の本業に加え、AIを軸に収益性を高めることが重要課題とみられており、メディア子会社だけがグループ戦略と切り離された独自路線を取るのは容易ではない。こうした事情から、メディア事業でも何らかの調整は避けにくいとの見方が業界で大勢を占めている。

市場では、KTが選択と集中の観点からメディア事業の再整備に入る可能性も指摘されている。KTはこれまで、有料放送、コンテンツ制作、プラットフォーム運営、広告、コマースまで幅広い領域を子会社群として抱えてきたが、一部ではこうした構造がかえって非効率を招いているとの指摘もある。

あるメディア業界の専門家は「KTは通信会社であると同時に、総合メディア企業といえる規模の事業群を持つ」としたうえで、「子会社間で競合や役割の重複が生じてきた」と分析した。

とりわけ収益源である有料放送事業は、立て直し策が求められている。IPTVサービス「ジニTV」を提供するKTは、昨年上半期の有料放送市場でシェア24.9%と首位を維持した。ただ、グローバルOTTとの競争が激しくなるなか、新たな成長エンジンの確保が急務となっている。

衛星放送を手がけるKT SkyLifeは、2021年上半期以降、市場シェアの下落傾向が続いている。

業界関係者は「IPTVは通信とのセット販売を通じて安定収益を支える事業だが、成長鈍化が続けば中長期の投資余力を圧迫しかねない」とし、「グループとして中長期戦略を改めて示す必要がある」と話した。

コンテンツとプラットフォーム分野でも事情は同じだ。制作、流通、プラットフォーム運営が複数の子会社に分かれているため、意思決定に時間がかかり、投資の方向性も分散しやすいという。

別の業界関係者は「メディア関連の機能をグループ内に取り込んだこと自体は強みだ」としつつ、「実際には各子会社が自社の立場を優先し、グループとしての明確な戦略が見えにくくなっている」と指摘した。

こうした状況を踏まえ、パク・ユンヨン体制ではグループ戦略との整合性がこれまで以上に重視されるとの見方が出ている。前出の関係者は「新代表の下では、通信とAIを中心にグループ全体が収益化を重視する方向に進むのではないか」としたうえで、「メディア子会社もその枠組みのなかで役割の再定義を迫られる可能性がある」と述べた。

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