写真=ナノバナナ

韓国国会が、大手YouTubeチャンネルを視聴覚メディアとして制度の対象に組み込む「統合メディア法」の草案を公表した。影響力に見合う責任を求めるのが狙いで、一定規模以上のチャンネルに対する届出義務のほか、広告・協賛表示や販売誘導に関する規制も盛り込んだ。クリエイターの主要な収益源にも踏み込む内容だけに、議論を呼びそうだ。

国会科学技術情報放送通信委員会(科放委)委員長直属の統合メディア法タスクフォース(TF)はこのほど、「視聴覚メディアサービス法」の草案を公表した。7カ月間で計16回の会議を重ねて取りまとめた。従来のように伝送技術を基準に放送を定義するのではなく、電波や電気通信設備を通じて映像・音声を提供、または媒介する行為全般を「視聴覚メディアサービス」として包括するのが柱だ。

草案では、メディアサービスを「公共領域」と「市場領域」に大別した。YouTubeなどの利用者制作コンテンツ(UGC)は、市場領域の「視聴覚メディアコンテンツサービス」に分類し、法の適用対象に含める。

TFは、すべてのYouTuberを一律に規制するのではなく、既存メディアに匹敵する社会的・政治的影響力を持ちながら制度の枠外にあった大手チャンネルを対象にする考えだ。

具体的には、影響力や規模など一定の基準を満たす大手YouTuberに届出義務を課す。政府が産業の実態把握に必要な最小限のデータを確保できるようにするのが目的だ。

対象となるYouTuberには、広告や協賛の表示義務も課す。いわゆるステルスマーケティングを防ぐため、金銭的支援の有無や広告・協賛の有無を視聴者に明確に示す法的義務を設ける方針だ。

さらに、大統領令で定める大手コンテンツ制作者については、特定商品の露骨な宣伝や販売誘導行為を禁じる案も盛り込んだ。放送に準じた規制の適用を視野に入れている。

こうした規制の根拠としてTFが掲げるのが、「同一サービス・同一規制」の原則だ。同じドラマや報道コンテンツを提供していても、既存メディアには厳しい規制が課される一方、YouTubeは制度の空白地帯に置かれてきたとの問題意識がある。あわせて、YouTubeが韓国国内で巨額の売上高を上げていても実態を正確に把握しにくい点や、嫌悪表現や対立をあおるコンテンツから利用者を守る必要性も反映された。プラットフォームだけでなく、影響力の大きい個人クリエイターにも一定の責任を求めるべきだという考え方だ。

討論会で、科放委統合メディア法TF団長のイ・ナムピョ(龍仁大学客員教授)は、「階層分類の核心的な基準は、事業者の規模や行政の便宜ではなく、視聴者の観点から見た波及力だ」と述べた。その上で、「地上波放送に劣らない影響力を持ちながら法の空白に置かれてきた大手YouTubeチャンネルなどは、少なくとも法の枠内に入る必要がある」と説明した。

◆「大手」の基準が焦点、政争化の懸念も

もっとも、立法化までには争点が少なくない。最大の論点は、規制対象となる「大手YouTuber」をどう定義するかだ。登録者数を基準にするのか、広告収益や支援金を含む売上規模で線引きするのかはなお曖昧で、基準策定の過程では、国内外の制作者間で逆差別が生じる可能性も指摘されている。

政治的影響力の大きいYouTuberが対象に含まれれば、言論統制や表現の自由の侵害だとして政争化する可能性もある。この点を巡っては、科放委TF内部でも見解が一致していないとされる。

TF関係者の1人は「一部の政治チャンネルは、一部の報道チャンネルを上回る影響力を持つ。世論への波及力を考えれば、最小限のデータは確保すべきだという趣旨には共感する」とした一方で、「ただ、規制化すれば政治問題に発展し、統合メディア法全体が頓挫する恐れもある。実現可能性には懐疑的だ」と語った。

クリエイターメディア産業の振興を進める政府方針との衝突を懸念する声もある。放送メディア通信委員会は今年の予算2631億ウォンのうち、519億ウォンを「活力ある放送メディア通信エコシステム構築」分野に充てる。YouTubeクリエイターや関連スタートアップの育成も含まれる。草案に盛り込まれた販売誘導禁止条項は、こうした担い手の主要な収益源を直接制約する可能性がある。

コンテンツコマース業界の関係者は「広告収益モデルが限界に近づく中、コマースはクリエイターエコシステムを維持する突破口だ」と指摘した。その上で、「単純な支援は放置しながら、地域の農産物や中小企業の販路拡大にもつながる商品販売を止めるのでは、規制の狙いが曖昧だ」と述べた。

国会は、今回の草案はあくまで法案策定に向けたたたき台であり、今後さらに意見集約を進める考えだ。科放委所属のノ・ジョンミョン(共に民主党)議員は討論会で、「この法律は完成した設計図ではなく、よりよい制度設計に向けた議論の出発点だ」と述べた。さらに「必要な議論であることは間違いないが、誤解を招かないかという悩みもあった。それでも意味のある議論を始めるため、多くの人が努力してきた」と語った。

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