AI・クラウド専業のITCENCloITは1月27日、マルチエージェント管理プラットフォーム「AgentGo 2026」の正式提供を開始した。閉域網からパブリッククラウドまで幅広い導入形態に対応し、統制、監視、ガバナンスを一元化することで、企業の基幹業務へのAI実装を後押しする。
同社は、マルチエージェント時代にはセキュリティや運用管理、モニタリングに加え、エージェント同士の連携を直感的に扱える操作性も重要になると判断。中央管理基盤がなければ、2028年までに進むエージェント導入の多くで投資対効果(ROI)の確保が難しくなるとみて、「AgentGo 2026」を開発したとしている。
「AgentGo 2026」は、データ主権の保護が求められる閉域網環境からパブリッククラウドまで柔軟に導入できるのが特徴。中央統制と統合ガバナンスの機能を備え、企業が安心してAIを業務プロセスに組み込めるようにする。
中核となるのは、分散した個別エージェントを一元管理する「マルチエージェント管理」機能だ。権限に応じてエージェントを自動認識し、実行までつなげる「マルチエージェント・オーケストレーション」エンジンに加え、オンプレミス、パブリッククラウド、厳格なセキュリティ要件を求める閉域網までカバーするモジュール型プラットフォームを提供する。
主要モジュールのうち、「Management」はユーザーや部門ごとの権限制御に対応し、エージェントの接続状況やデータフローをリアルタイムで監視することで、セキュリティ上の死角を減らす。「Guard」は企業のセキュリティポリシーを優先的に適用し、データ流出やデータバイアス、ハルシネーションの抑制を担う。
「Flow」では、役割の異なるエージェントを組み合わせたワークフローを設計できる。例えば、APIゲートウェイ経由で社内の経費規定確認エージェントと外部の航空予約システムを連携させれば、AIがまず規定遵守の可否を確認し、そのうえで最適な選択肢を提示する。ユーザーが内容を確認して最終承認すると、APIを通じて予約処理を即時に実行する仕組みも構築できるという。
同社は、こうした仕組みにより、画面操作が中心のRPAを超え、標準APIベースのエージェント連携で業務アクションまで完結できる点を差別化要素として挙げる。
「AgentGo 2026」のキーワードとしては、セキュリティ、拡張性、オープン性、エコシステムの4点を掲げた。セキュリティとガバナンスの面では、情報漏えい防止や規制順守に向けた強力なガードレールを提供し、エンタープライズの厳しい要件に対応する。
拡張性では、オープンソースベースの柔軟なアーキテクチャを採用。パブリッククラウドに加え、オンプレミスやプライベートクラウドにも対応できる構成とした。オープン性の面では、特定のクラウドサービスプロバイダー(CSP)や大規模言語モデル(LLM)ベンダーへの依存を避ける設計を志向し、オープンソースと標準プロトコル(A2A、MCPなど)を基盤に据えた。
将来的には、自社開発のエージェントや外部エージェントを活用・共有できるマーケットプレイスも提供する計画で、年内の公開を見込む。
製品は導入目的とITセキュリティ環境に応じて、3つのエディションで展開する。社内ナレッジ検索を主用途とする「AgentGo Chatbot」、システム連携によって業務プロセスを自動化する「AgentGo Standard」、データ主権の統制を重視する組織向けの閉域網特化モデル「AgentGo Enterprise」を用意した。
あわせて、強固なセキュリティを求める企業向けに、NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Server Editionを搭載したハイブリッドAIアプライアンスも発表した。
現在は、製薬分野の新薬開発自動化や公的機関の業務自動化など、業種別の特化事例の拡大に注力している。長期的には、物理的なアクションが可能なロボット技術と連携した「Physical AI」プラットフォームへ進化させ、デジタルと物理世界をまたぐインテリジェントプラットフォームの実現を目指すとしている。
ITCENCloITのキム・ウソン代表は、「AI導入を成功させるには、単にモデルを導入するだけでなく、組織の規定や業務プロセスにAIを安全に定着させることが重要だ」とコメント。「AgentGo 2026は、国内企業の環境に即したセキュリティ要件などを反映し、安全で効率的なエンタープライズAIの標準を提示する」と述べた。