通信3社が、iPhone利用者向けにRCSベースの企業メッセージサービスを正式に開始した。iPhoneでも高機能なメッセージ規格であるRCSを利用しやすくなり、企業向けメッセージ市場の競争環境にも影響を与えそうだ。
通信業界によると、通信3社はこのほど、iPhone利用者向けのRCS企業メッセージを正式提供した。RCSはGSMAが策定した次世代メッセージ規格で、SMSやMMSに比べて長文送信や高画質画像の送受信に対応する。
3社は2025年9月、iOS26へのアップデート後に企業メッセージのオープンベータを始めていた。その後、安全性や互換性の確認を進め、21日に正式サービスへ移行した。対象は、iPhone 11シリーズ以降でiOS26以上を利用するユーザーとなる。
RCSでは、長文送信に加え、高画質写真や大容量ファイルの共有、グループチャット、既読表示、入力中表示などが利用できる。メッセンジャーアプリに近い使い勝手を備えるのが特徴だ。iPhone利用者はAndroid利用者とも最大100人までのグループチャットが可能で、既読確認や絵文字送信にも対応する。
こうした対応は、企業向けメッセージ市場の転換点になり得るとの見方が出ている。通信業界関係者は「従来のテキストメッセージより多くの情報を盛り込めるため、マーケティング手段として活用する企業は増えるだろう。用途に応じた選択肢も広がる」と話した。
注目されるのが、送信元の信頼性を高める「ブランドプロフィル」機能だ。メッセージ上に公式ロゴや企業情報を表示できるため、販促メッセージがスパムと受け取られやすいなかでも、利用者は発信元を確認しやすくなる。企業側には開封率の向上も期待される。企業がRCSビズセンターにブランド登録すると、送信時にブランドロゴが自動表示され、クリックの有無など顧客反応の統計データもマーケティングに活用できる。
業界では、KakaoTalkとの競争が一段と強まるとの見方が出ている。Kakaoが提供する「通知トーク」や「ブランドメッセージ」と競合領域が重なるためだ。高画質画像の送信や長文対応、企業情報の表示といったKakaoTalkの機能を、RCSでも実装できるという。関係者は「RCSはKakaoTalkのブランドメッセージに近いサービスを実現できる。iPhone利用者にもRCSが広がったことで、テキストメッセージがカバーできるマーケティング対象はさらに広がった」と述べた。
通信事業者にとっても追い風となりそうだ。RCSの利用基盤が広がるほど、収益性の改善につながる可能性があるためだ。一部では、Kakaoのブランドメッセージは通信事業者にとってメリットが限られる存在だとの見方もある。KakaoTalkは通信事業者のトラフィック負担を増やす一方で、通信事業者の売上には直結しにくい構造だという。
Appleのメッセージ戦略が転機を迎えた点にも注目が集まる。Appleはこれまで、iPhone利用者同士に限ってiMessageで高画質写真の送信、既読表示、リアクション機能などを提供し、差別化を図ってきた。一方で、iPhoneとAndroidの利用者がメッセージをやり取りする際には、機能制限による不便さが指摘されていた。
もっとも、RCSの拡大が直ちにKakaoTalkの地位を揺るがすかは不透明だ。一般利用者が体感する変化は限定的にとどまる可能性があるとの分析もある。KakaoTalkが事実上の国民的メッセンジャーとして定着し、多くの利用者がグループチャットをKakaoTalk中心で運用しているためだ。
業界関係者は「RCSは企業向け広告市場でより大きな効果を発揮するだろう。一般利用者が十分な変化を実感するまでには時間がかかる」と話している。