LG U+は3月4日(現地時間)、スペイン・バルセロナで開催中の「MWC26」で、通信事業の枠を超えてAI中心のソフトウェア企業へ転換する方針を明らかにした。音声AIサービス「ixi-O」を核に海外市場を開拓するとともに、AICCやAIデータセンターを軸に法人向け事業を拡大する。
ホン・ボムシク最高経営責任者(CEO)は同日の記者懇談会で、「LG U+の目標は、通信とAX関連技術のソリューション展開をリードするAI中心のソフトウェア企業になることだ」と述べた。技術力とパートナーシップを基盤に、海外市場への進出を進める考えを示した。
◆事業基盤強化、顧客価値、AI投資、グローバル展開を中長期戦略の柱に
ホンCEOは、LG U+が2025年に重点的に進めた戦略として、(1)事業基盤の強化(2)顧客価値の革新(3)AIインフラ投資(4)グローバル展開――の4点を挙げた。
通信会社の中核競争力としては、セキュリティ、品質、安全を重視する姿勢を示した。ホンCEOは「国家基幹通信事業者として、セキュリティ、品質、安全は譲れない基盤だ」と強調。「単に収益性の観点ではなく、利用者の利便性のためには一定水準を超える投資が必要だと確信するようになった」と語った。
顧客体験の革新についても、利用者が不便を感じることなく安心して使えるサービス体験の提供が、次の成長につながるとの認識を示した。また、AIデータセンターやグラフィックス処理装置(GPU)、大規模言語モデル(LLM)といったAIインフラが、国家競争力の中核になりつつあると指摘した。
通信市場の成長鈍化が続く中、AIインフラ投資を進めるには財源の確保が欠かせず、その突破口としてグローバル展開を位置付ける。ホンCEOは「AI時代に備え、グローバル展開の推進は重要課題だ」としたうえで、「グローバルなソフトウェア事業に進出したい」と述べた。
◆音声AI「ixi-O」を軸に海外市場を開拓
LG U+は海外展開の中核サービスとして、音声AI基盤の「ixi-O」を打ち出した。音声データを基に会話の文脈や感情を理解し、サービスを提供するAI通話エージェントとして展開する。
ホンCEOはMWC26のキーノートでも、ロボットやウェアラブルが主導するフィジカルAI時代には、音声が中核インターフェースになると強調していた。「音声を介したサービスの基盤となるデータ競争力は、通信会社が最も高いと考えている」と述べた。
LG U+は、ixi-Oそのものの提供に加え、AI技術スタックも提供する「2トラック」で海外市場の拡大を狙う。現在は海外の通信事業者13社と、ixi-Oの展開に向けて協議を進めているという。
ホンCEOは、規制環境や技術面の違いから時間を要する可能性があるとしつつも、2027年以降には海外展開が可能になるとの見通しを示した。規制が比較的厳しい欧州より、東南アジア市場で先行して成果が出るとみている。
◆AICCとAIデータセンターで法人事業を拡大
法人向け事業では、AIベースのコンタクトセンター(AICC)とAIデータセンターを成長戦略の柱に据える。
LG U+のAICC事業は2025年、売上高が前年比で2倍に拡大した。通信会社は最も複雑なコンタクトセンター環境を運用しており、その運用ノウハウを他業種のコンタクトセンターにも展開できるとホンCEOはみている。
AIデータセンター事業では、パジュのAIデータセンターに期待をかける。2027年の竣工を予定するパジュAIデータセンターを起点に、顧客向けデータセンターの設計、構築、運用を一括で担うDBO(Design・Build・Operate)事業を拡大する計画だ。
通信事業では、AIサービス、ライフスタイル、メディア、金融の4分野で、市場を主導する事業者との協業方針も示した。ネットワーク分野では、5GスタンドアロンやAI RANなどの将来技術を適時確保し、AIによる最適化を通じた自律型ネットワークソリューションで市場をリードするとしている。